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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「アルバート氏の人生」 〜そこに愛はあったのか〜

映画 あ行

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公式サイト:http://albert-movie.com/音が出ます!

監督:ロドリゴ・ガルシア
脚本・製作:グレン・クローズ
脚本:ガブリエラ・プレコップ、ジョン・バンヴィル
プロダクションデザイン:パトリツィア・フォン・ブランデンスタイン
撮影:マイケル・マクドノー
衣装:ピエール=イヴ・ゲロー
主題歌:シネイド・オコナー
原作:ジョージ・ムーア

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
19世紀のアイルランド。モリソンズホテルでウェイターとして働くアルバート(グレン・クローズ)。
人付き合いを避け、ひっそりと生活しているアルバートは、長年、誰にも言えない
重大な秘密を隠してきた。それは“彼”が貧しく孤独な生活から逃れるため、
男性として生きてきた“女性”ということだった…。
(公式サイトより転記させていただきました)

1982年にオフ・ブロードウェイで舞台版「アルバート・ノッブス」の主役を演じた
グレン・クローズが、プロデューサー、共同脚本家、主演女優をつとめ、映画化した作品。

公式サイトに「この映画化実現こそが彼女の“ライフワーク”となって…」とありましたが、
なんだかグレン・クローズの力の入れようが伝わってくる映画です。
こういう、小さいけどしみじみと哀しくて残酷で、でもどこか奇麗な部分もあって
アイルランドやイギリスの実力ある俳優が出演している映画は、良いな〜。好きです。

当時のアイルランドはイギリスにも搾取され、特権階級以外の人々の生活は
かなり貧しかったようですね。
主人公アルバートが男性として生きていく事になる直接の原因は別にあるのですが、
“貧困”も間接的な要因となっています。

教育を受けていない男たちは働いても生活が楽にならず、酒を飲んでは暴力を振るう。
そのしわ寄せは弱者でもある女達にくるという構図です。一番の弱者は子供だと思いますが。

ヒューバート・ペイジも、虐げられた女性という立場を捨て、
男として生きて行く選択をした女性です。
けれど、彼女とアルバートが決定的に違ったのは“人を愛する”という事を
知っていたか否かということだと思います。

ヒューバート役のジャネット・マクティア、かなり大柄なので遠目には男っぽいんですが、
一目で女性だとわかりました。しぐさが宝塚の男役的というか、作った男らしさだから、
ピン!とくるんだと思います。
ミスマープルのドラマで見た時から、デカくて迫力ある女優さんやなぁとは
思っていましたが、男前なヒューバートは頼れるナイスガイ!です。

アルバートが、自分の伴侶にメイドのヘレン(ミア・ワシコウスカ)を選んだのは
ヒューバートの影響なんでしょうかね。
彼女は確かに良い子やけど、ジョー(アーロン・ジョンソン)に夢中やし、
自分のセクシャリティを隠して結婚するのは、反則ですよね。

アルバートは、そういった基本的な人間関係がわかってないんです。
妻を亡くし落ち込んでいるヒューバートに対しての、彼女の態度で
「あー、この人は愛ある関係というものがわかってないんやなぁ」と
それまでの彼女の味気ない人生を思い、哀しくなります。

それでも、ヘレンを人間として大切に思い供に幸せになりたいと夢見た
気持ちは、アルバートの考えるささやかな幸せだったんでしょうね。
彼女の表情が安らかだったのが、救いです。

「キック・アス」(2010年)のあの草食系男子とは気がつかなかったくらい
アーロン・ジョンソンは、野心満々でいけ好かないジョーにピッタリとはまってました。
逆に、ヤレル子爵役のジョナサン・リース・マイヤーズはあんまり存在感なかったかなぁ。

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞。