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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「おじいちゃんの里帰り」 〜家族が基本〜

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公式サイト:http://ojii-chan.com/
※音声が出ますのでご注意ください

監督・脚本:ヤセミン・サムデレリ
脚本:ネスリン・サムデレリ
音楽:ゲルト・バウマン
製作:アニー・ブルンナー、アンドレアス・リヒター、ウルズラ・ヴェルナー
(2011年 ドイツ制作 101分)
原題:ALMANYA - WILLKOMMEN IN DEUTSCHLAND

※ネタバレ含みます

【ストーリー】
家族とともにトルコからドイツへ移住したフセインじいちゃんの、
半世紀にも及ぶ涙ぐましいまでの奮闘ぶりと、
彼が新世代の家族へとバトンタッチをしてゆく姿を、
優しくユーモラスに綴る笑いと涙の感動作です。
(公式サイトより転記させていただきました)

監督は、トルコ系ドイツ人2世の新鋭ヤセミン・サムデレリ、
妹ネスリンと共同脚本を手掛けていて、姉妹の実体験を基に描かれたとの事。

 

年を重ねリタイアしたフセイン爺ちゃん(ヴェダット・エリンチン)の
家に子供・孫達が集まっています。
孫息子・チェンク(ラファエル・コスーリス)に家族の歴史を
語ってきかせるのは、従姉のカナン(アイリン・テゼル)です。

カナンによって語られる物語、一家がトルコからドイツに移民するまで、
移民してからの事、これらと現在とが交錯しつつ描かれていきます。

1964年、100万人目の外国人労働者としてドイツ・ケルンの駅に到着し、
華々しく迎えられ脚光をあびる移民の横で、100万1人目の労働者として
ひっそりと駅を後にするトルコ人男性、フセイン

やがて、家族をドイツに呼び寄せたフセインでしたが、妻や子供は
全くドイツ語が理解できません。
カルチャーショックを受けながらも、徐々にドイツ流に染まっていく
家族の様子が、少々誇張されながらユーモラスに描かれています。
久しぶりに里帰りしたトルコの故郷も、ドイツでの生活に慣れた一家には
馴染めないものになっていたり。

チェンク聴かせるお話として家族の歴史が語られるので、
その部分は少しファンタジックで楽しく描かれています。
フセインがいかに一所懸命に働いたかなんていう具体的な
描写はありません。そんなのは無くても想像できる事ですしね。

実際のドイツでは、トルコ人移民に対しての偏見や差別があるのだろうなぁと
思ってしまいますが、監督が「意識して楽しい作風に仕上げた」と
言っていたように、ここではそういうシビアな問題にはふれずに、
フセイン一家の奮闘が前向きに、笑いの要素を取り入れ描かれているのが
良いなぁと感じました。
巨大なコカ・コーラを夢見る次男の映像もユニークでした。

話が現在に戻ると現実味が増すのですが、ここでのテーマは
移民問題”ではなく、家族・人間関係といった要素です。
一つのベッドを取り合う兄弟達(大人になっても!)の関係性や、
異民族の恋人との間に子供ができ悩む孫娘など。
フセインはドイツ国籍を取得するものの、自身のアイデンティティについて
考えた末なのか、トルコの故郷に家を買ったと家族に発表します。
そして、次の休暇に家族全員でその家を訪れようと提案します。
一家は半ばしぶしぶ旅に出るのですが。。。。

ここからは、家族がそれぞれに自分を見つめ直すというか、
フセインによって無意識に導かれていく、という印象を受けました。
家があんな姿だったのは、そういう事なのかなぁと色々考えてみたり、
なかなか余韻の残る映画です。

本作が長編映画監督デビューだというサムデレリ監督、
同じくトルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督のように、
今後も優れた作品を創ってくれるのかもしれませんね。

テアトル梅田 にて鑑賞。