ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「サラゴサの写本」〜“ポーランド映画祭2012”より〜

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監督:ヴォイチェフ・イエジー・ハス
原作:ヤン・ポトツキ
脚本:タデウシュ・クヴィアトコフスキ
撮影:ミエスチワフ・ヤホダ
音楽:クシシュトフ・ペンデレツキ
(1965年 ポーランド 182分)
原題:REKOPIS ZNALEZIONY W SARAGOSSIE

17世紀のスペインを舞台に繰り広げられる愛と冒険の物語。
現代音楽の鬼才ペンデレツキのサウンドにのせて語られる本作は
〈ポーランド派〉以降登場した歴史・文芸路線の代表的な1本。
夢の論理をそのまま視覚化したような迷宮感覚は、今見ても衝撃的。
ルイス・ブニュエルをはじめコッポラ、スコセッシ、リンチ、
グレイトフル・デッドのジェリー・ガルシアらが熱狂した
超カルトな幻想怪奇譚である。
(公式サイトより転記させていただきました)

不思議なテイストで、すごく面白い映画でした! 
未知の作品の中には、まだまだこんな面白いモノがあるんやなぁと
スキップしたい気分で映画館を後に。

原作は、ヤン・ポトツキの原作「サラゴサ手稿」。
ポーランド映画ですが、舞台はスペインです。

戦いの中、空き家に入った人物が写本を発見し、
その素晴らしさに見入ってしまいます。
続けて入ってきた敵方の隊長は、その写本に先祖の名前を見つけ
敵味方関係なく、一緒になって写本を読みふけります。

そこからは、写本に描かれた物語の世界が始るのです。

主人公アルフォンスは、従者を二人連れマドリードへの近道を探す大尉。
彼はある宿屋で異国の美女二人に出逢い、食事に招待されます。
しかし朝目覚めてみると、そこは絞首台の真下だったのです。

気がつけば、何故かいつもこの宿屋と絞首台に、帰ってきてしまう。
このように、夢なのか現実なのかわからない世界の中から出られない
主人公の様子がユーモアたっぷりに描かれます。

また、話はアルフォンスの周りだけにとどまらず、彼が訪れたカバラ信奉者の城にも
別の語り手が登場し「話の中の話に出てくる話」といった入れ子構造が特徴で、
複雑でかつ面白く、見る者をあきさせません。
それぞれの話の登場人物もユニークで、喜劇的な要素も多く楽しめます。

“夢の論理をそのまま視覚化したような”とありますが、
混沌とした訳のわからない観念的な作品ではなく、
物語としての面白さが際立っているのが、本作の特徴だと思います。
一度見ただけでは消化しきれてないというか、何度も見たくなる要素をもっている映画です。

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。