ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ホビット 思いがけない冒険」 〜原作とはちょっと違うけど〜

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公式サイト:http://wwws.warnerbros.co.jp/thehobbitpart1/

監督・製作・脚本:ピーター・ジャクソン
原作:J・R・R・トールキン
製作総指揮:アラン・ホーン、トビー・エメリッヒ、ケン・カミンズ
製作・脚本:フラン・ウォルシュ
製作:キャロリン・カニンガム
脚本:フィリッパ・ボウエンギレルモ・デル・トロ
(2012年 アメリカ/ニュージーランド 170分)
原題:THE HOBBIT:AN UNEXPECTED JOURNEY

※ネタバレ含みます。

【イントロダクション】
ロード・オブ・ザ・リング王の帰還』で、アカデミー賞®史上最多となる
11部門獲得という偉業を成し遂げたピーター・ジャクソン監督が、
今度は「ロード・オブ・ザ・リング」で描かれた中つ国の60年前を舞台にした
ホビットの冒険」の映画化に挑む!

【ストーリー】
ホビット族のビルボ・バギンズは魔法使いのガンダルフに誘われ、
13人のドワーフたちと共に、恐るべきドラゴン“スマウグ”に奪われた
ドワーフの王国を取り戻すという危険な冒険に加わる。
(公式サイトより転記させていただきました)

以前はファンタジー映画に全く興味がなかったのに(今もそれほど熱心な方ではないですが)、
たまたま頂いた招待券で見た「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(2003年)がきっかけで、
この世界のファンになりました(前2作はDVDでしか見ていないのが惜しまれます)。
王の帰還」を見て原作が読みたくなり、当時「指輪物語」全10巻をすぐ購入。

文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)
(2005/12)
J.R.R. トールキン、瀬田 貞二 他

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正直、全部を読むのはなかなか大変でした。色んな記述も細かいし。
それだけに、その後読んだこの本がもう読みやすくて、楽しくて!

ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)
(2000/08/18)
J.R.R. トールキン

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ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)
(2000/08/18)
J.R.R. トールキン

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こちらは少年文庫ですから、挿絵もたくさん入っていて文字も大きくて、とにかく読みやすい。
指輪物語」とは違って、のんびりとした雰囲気がとても良い感じなのです。

ただ、すでに「ロード・オブ・ザ・リング」を見て“中つ国”のイメージが出来上がっている場合は、
その挿絵にちょっと驚いたり、名前の表記が映画版とは異なっていて違和感を感じるかもしれませんが。
とにかく、この物語が映画化されたらさぞかし楽しいやろなぁと待っておりました。

さて、今作品は予想以上に戦闘シーンや残酷なシーンが多くて、
(やたらとオークに追い回されていたような。。。。)
原作のイメージとはちょっと違う感じもしました。

ラスト近くゴブリンの住処から脱出する場面は、アクションゲームみたいで
(梯子から梯子へ渡るタイミングとかドンキーコングを思い出した)まぁ良いとしても、
ドワーフ狩りに失敗した手下を手にかけるオークのシーンは、要らないと思います。

それでも、懐かしのシャイア! ホビット庄の景観には胸ふるえるのですよね。
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冒頭、イアン・ホルム演じるビルボ・バギンズやフロド(イライジャ・ウッド)が出てくるのは、
ロード・オブ・ザ・リング」から遡るという話の流れを理解しやすくて良いかも。
イアン・ホルムの「イヒヒッ」という笑い方も大好きやし、イライジャも相変わらず可愛いですねぇ。
というか、ホビットやってるとみんな可愛く見えるというのが正解かもしれません。

当然、“可愛いオジサン”なマーティン・フリーマンも、ビルボ役にピッタリな訳です。
次々とドワーフ達に家におしかけられ途方に暮れる様子は、
これまで演じた他の役でも見た事ある感じですが、
周りに振り回されてアタフタする役を演じさせたら、
イギリス人俳優の中で彼の右に出る者はいないのでは?!とか思います。
一番の萌えポイントは、フィーリとキーリ兄弟が戸口に現れた時に発せられた
「フーン」という困り果てた声。いや、これだけでももう一回見に行こうかと思う(笑)

頭の中で想像していたシーンを、映像として見る事ができるのは楽しいですね。
岩の巨人の雷合戦のシーンは迫力があったけど、
これをくぐり抜けて生き残るなんて信じられない!
そんな事言い出したら、この映画自体が成り立たない訳で(笑)
馬を盗んだトロルとのシーンも、原作とは違う展開でそれがかえって面白かったです。
トロルのアホさ加減と、ビルボの機転が効いてるのかそうでもないのか判らない
へなちょこな展開に、笑ってしまいます。

私にとっての一番の見所は、ゴラム(アンディ・サーキス)とビルボのなぞなぞ合戦の場面。
ゴラムの心の中にある子供のような心と悪い心をそれぞれの話し方で、また
かつてホビットの姿をしていた頃を思わせるような大人の声も交えながら、
表現するアンディは凄い! 見入ってしまいます。
時々ふっとゴラムが可愛く思える時があるんですよね。
ビルボがゴラムに憐れみの心を抱いた後、彼を踏みつけて(ませんでした?)
行ったのが、ちょっと可哀想でしたよ。踏んだり蹴ったりとはこの事でしょう。

この映画には、ニュージーランドの俳優達とともに、
年輪を感じさせるイギリス人俳優達がたくさん出演しているので、
彼らの安定感のある重厚な演技も見どころの一つだと思います。
茶の魔法使いラダガスト(シルベスター・マッコイ)は楽しいキャラクターですね。
あと、御年90歳のクリストファー・リーが(失礼ながら)お元気でなにより。

今回は、IMAX 3D版を鑑賞したのですが、この映画に関しては
あまり3Dである必要性は感じません。普通に2Dで良いのでは?
IMAXの音響は迫力あって、良い感じです。

ホビットの家って、ピーター・ラビットに出てくる家に似てるよね」と
一緒に見に行った友人が言っていたのですが、本当ですね。
私は、のねずみのチュウチュウおくさんの家を思い出しました。
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その他
・オークが乗ってた魔狼(ワーグ)は「もののけ姫」の山犬に見た目だけ似ているかも
・スマウグとネクロマンサーの声とモーションキャプチャー担当ということで、
 ベネディクト・カンバーバッチの名前がエンドロールでクレジットされてた
・神々しいケイト・ブランシェット以外には、ほとんど女性が出てこない
・がむしゃらに敵に向かって行くトーリン(リチャード・アーミティッジ)を
 見ていると、「ブレイブハート」(1995)のメル・ギブソンを思い出した

109シネマズ箕面にて鑑賞。

追記(12月19日):
今日、大阪ステーションシティシネマで2D版を観賞しました。
うん、やっぱり2Dで充分楽しめる作品だと思います。