ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「心の陽だまり」〜第19回大阪ヨーロッパ映画祭より〜

公式サイト:http://www.oeff.jp/ja/

監督:フィリップ・クローデル
(2011年 フランス 105分)
原題:Tous les soleils

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
大学でイタリアバロック音楽を教えるかたわら、
病院を訪ねて朗読ボランティアをしているアレッサンドロ(ステファノ・アコルツ)。
彼は15歳の娘イリナ、ベルルスコーニ政権に反抗して自分を政治亡命者だと主張する
風変わりな兄ルイジとスタトラスブールで暮らしている。
(公式サイトより転記させていただきました)

今年の大阪ヨーロッパ映画祭は、この一本のみの観賞という
非常に消極的な参加になってしまいました。
ミケランジェロ・アントニオーニの作品なんかは、なかなかスクリーンで
見られる機会がないので行きたかったんですけどね。

監督は「ずっとあなたを愛してる」のフィリップ・クローデル

前作とはうってかわり、明るいコメディです。
主人公やその家族、友人がフランス在住のイタリア人達というせいか、
イタリアっぽいノリのフランス映画という印象でした。

主人公アレッサンドロが基本ものすごく良い人で、周りにも悪人はいません。
アレッサンドロが妻の死から立ち直れていないという状況であっても、
こんな環境の中にあっては、十分コメディとして成り立つのです。

アレッサンドロが平気でイリナの下着(ショーツ)を選んだりするのが、
全くわかってない親父っぽくて面白いですね。
結構かっこ良くて色気もあるアレッサンドロなのに、
あんなに一途で恋愛に不器用なイタリア人がいるのかしらん?と思うような、
一般的なイタリア人男性のイメージとはほど遠いキャラクターになっています。

ベルルスコーニ(前)首相の写真をダーツの的にする兄や、
そんな兄に悪影響を受けてしまう郵便配達人、
ニセ新聞を作って兄をだます友人達など、ちょっとおかしな人達が
作り出す笑いに包まれ、なかなか和む映画だと思います。
今は精神的に落ち込んでるからかなぁー。こういう雰囲気には救われます。

そんなふざけたエピソードの中で時々、真面目に何かが語られたりします。
娘が父に対してずっと感じている気持ちだったり(あんな事言えるなんて、
なんて出来た娘やろねー)、
神話の結末を予測した少女が言う“死んだ人は帰ってはこない”事実などです。

アヌーク・エーメがキーパーソンとして登場したのは、嬉しい驚きでした。
この時すでに80歳近いと思いますが、相変わらずエレガントで美しいですね♪

ラストシーンでのアレッサンドロの独唱も美しかったです。

エルセラーンホールにて鑑賞。