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監督・脚本・原作:マルジャン・サトラピ
監督・脚本:ヴァンサン・パロノー
(2011年 フランス/ドイツ/ベルギー 92分)
原題:POULET AUX PRUNES
※ネタバレ含みます。
【ストーリー】
最期の8日間で、人生を振り返るナセル・アリ(マチュー・アマルリック)。
空っぽな音だと叱られた修業時代。
絶大な人気を得た黄金時代。誤った結婚、怖くて愛しい母の死。
大好きなソフィア・ローレンとチキンのプラム煮。
そして今も胸を引き裂くのは、叶わなかった恋。
やがて明かされる、聴く者すべてが涙する奇跡の音色の秘密とは─?
(公式サイトより転記させていただきました)
ピーカンの日より、今日のようにシトシトと雨が降る日に似合う、そんな映画。
サトラピとパロノーの共同監督作品「ペルセポリス」(2007)は、
内容はシビアながらユーモアが散りばめられていて、可愛らしさのある作品でした。
今作品も、悲劇のようでいてどこか温かさと可笑しさがある映画です。
オープニングクレジットでは、モスクのような形の鳥籠から逃げ出した鳥を
追ったアニメーションが展開されます。
ツガイの鳥と一緒になって飛んでいくその姿は、
後から考えるとナセル・アリの願望そのものっていう気もしてきます。
イラーヌとの恋に破れたナセルに残されたものは、音楽への情熱だけ。
ヴァイオリンが壊された時に、彼の心も死んだ。。。。このシンプルなストーリーに
彼の子供の将来が挿入されたりして、時系列的には入り組んでいますが、
わかりにくい事はないと思います。子供たちの将来を描いた部分や、
仙人のようなバイオリンの師匠、いかにもうさん臭い店主など、
コミカルな要素の方が、ナセルの悲恋よりも印象に残りました。
今作はサトラピ自身のコミックを実写映画化したもの。ですが、
部分的にアニメーションも使われていて、ファンタジー色をより強くしています。
ここでもジャスミンの花びらが舞い降りてきてましたし。
実写の部分も、雪や煙の使い方、セピア色の風景など、
ロマンティック&ノスタルジックな映像の数々。
冒頭、遠景から徐々にクローズアップされる街の様子は、
1958年のテヘランとありますが、むしろおとぎ話の中の街のよう。
夢のようなひとときを過ごすことができました。
梅田ガーデンシネマにて鑑賞。