ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「声をかくす人」 〜繰り返されるアメリカの歴史〜

CONSPIRATOR

公式サイト:http://www.likesomeoneinlove.jp/音が出ます!

監督:ロバート・レッドフォード
(2011年 アメリカ 122分)
原題:THE CONSPIRATOR

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1865年、膨大な死者を出した南北戦争がようやく終結した直後、
新しい国を導くはずのリンカーン大統領が暗殺される。
すぐに8人の犯人グループが逮捕されるが、そのなかに
南部出身の女性メアリー・サラット(ロビン・ライト)がいた。
(公式サイトより転記させていただきました)

R.レッドフォードらしい映画なのですが、個人的にはちょと盛り上がりに欠けました。

リンカーン暗殺事件がベースになっていて、
主人公が理不尽な国家に立ち向かう正義の物語なので、
アメリカの社会派ドラマと言えます。そういう面では興味深い映画でした。
ただ、たまたま一つ前に見た「アルゴ」が、これぞアメリカ!というインパクトのある
映画だったので、ちょっと薄味に感じられてしまったのかも。

最初はメアリーを弁護する事に納得していなかったフレデリック(ジェームズ・マカヴォイ)が、
次第に彼女はその娘に心を寄せ、やがてはメアリーの基本的人権を守る事に
全精力を尽くようになる過程は、丁寧に描かれていました。

リンカーン暗殺事件後に行われた軍事裁判は、最初からメアリーを
死刑にするという決まったシナリオがある茶番劇のようなもので、
見ている者は、この絶対的な権力に対する怒りの気持ちを感じずにはいられません。

1865年のこの事件以来、これまでに4人の大統領が暗殺されているアメリカ。
やはり、アメリカは荒くれ者が暴力で支配しようとしてきた国なのか、なんて
ふと思ってしまいますね。
いずれにせよ、共通の敵を一つに絞りそれに対して団結するアメリカの姿って
この時代からずっとあったんだなぁと感じました。
「戦時には法は沈黙する」というのは、9.11後のアメリカにもあてはまる気がします。

メアリーの娘アンナ役にエヴァン・レイチェル・ウッド
憎まれ役スタントン陸軍長官にケヴィン・クライン
ロビン・ライトとジェームズ・マカヴォイも抑制された演技を見せてくれます。

そうそう、ロビン・ライト・ペンっていつの間にかロビン・ライトという名前に戻ってたんですね。

テアトル梅田にて鑑賞。