ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「鍵泥棒のメソッド」 〜“ギャハハ”で“キュン”な映画〜

kagidorobo

公式サイト:http://kagidoro.com/

監督・脚本:内田けんじ
エグゼクティブプロデューサー:藤本款、和田倉和利
プロデューサー:深瀬和美、赤城聡、大西洋志
キャスティングディレクター:杉野剛
音楽:田中ユウスケ
撮影:佐光朗
照明:加瀬弘行
録音:藤本賢一
美術:金勝浩一
編集:普嶋信一
助監督:村上秀晃
製作担当:星野友紀
(2012年 日本 128分)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
銭湯で転倒し頭を強打。記憶を失った羽振りのいい男(香川照之)。
居合わせた売れない貧乏役者・桜井(堺雅人)は、出来心からロッカーの鍵をすり替え、彼になりすます。
(公式サイトより転記させていただきました)

映画を見てアハハと声を出して笑ったのは、久しぶりかも。
クスクス笑いは結構あるんですけどね。いやぁ、面白かった。

最初に出てきた香川さんの顔が、もう悪くて悪くて。そこから可笑しい。
記憶を失った間の自信なさげな表情と、服の着方(シャツインでベルトがハイウエスト気味)が
いかにもオタクで、これは本来の姿とのギャップと水嶋香苗(広末涼子)との相性という二点で
効果的でした。もともと香川さんて不気味+キモい雰囲気を無理なく出せる人ですし。(笑)
この作品に関しては、彼の独壇場という感じです。

一方の堺雅人さんも、行き当たりばったりでだらしない桜井の感じがよく出てました。
基本的にソフトな声と優しい顔をしてはるので、こういった情けない役が似合います。
主演の二人は、まさに適役といったところでしょうか。

唯一心配してたのは、いつも何かひっかかるこの女優さんが主要な役どころなので、
集中して見られるかという事でしたが、今回はなんとか大丈夫でした。
役柄がうまく合ってたのかもしれません。

冒頭、いきなりの殺人から、銭湯での思い切りのいいスベリっぷり(CG)など、
意外性とスピード感のある展開で、グイグイ惹きつけられます。
銭湯に来た救急隊員がやけに必死やったのが可笑しかった。
ベートヴェンの曲や車の警報など、音の使い方も効果的です。

後半の展開がややもたついた感じと、ちょっと強引さもあったものの
(なぜ香苗がそこにいる?)、それも含めてもよく出来た映画だと思います。
日本映画で、こういう優れた娯楽作品に出会うと本当に嬉しくなります。

内田けんじ監督、上手いですね。未見の「運命じゃない人」も見たい!

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞。