ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「最強のふたり」 〜理屈じゃなく〜

UNTOUCHABLE

公式サイト:http://saikyo-2.gaga.ne.jp/音が出ます!

監督・脚本:エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
(2011年 フランス 113分)
原題:UNTOUCHABLE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ひとりは、スラム街出身で無職の黒人青年ドリス(オマール・シー)。
もうひとりは、パリの邸に住む大富豪フィリップ(フランソワ・クリュゼ)。
何もかもが正反対のふたりが、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会った。
他人の同情にウンザリしていたフィリップは、
不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというフザケたドリスを採用する。
その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。
(公式サイトより転記させていただきました)

東京国際映画祭で上映された際、すこぶる評判が良かったみたいなので
イヤでも期待してしまいましたが、うん、期待どおりの良い映画でした。

人が人を好きになったり、その人といると元気が出たり、
馬が合うと感じたりするというのは、言葉ではうまく言い表せない
理屈じゃない“何か”が作用しているんじゃないかと思います。

大富豪フィリップが、面接でドリスを試してみようと思ったのは、
もしかしたら単なる気まぐれだったのかもしれません。
しかしその後、彼がドリスを気に入ったという“感覚”は、
映画の中ではそう上手く表現できているとは、正直思いません。

実際の彼ら(実話に基づいているので)だけにしかわからない“感覚”を
描くことはなかなか難しいだろうし、そこはあくまで映画的手法というか
ビジュアルも含めドリスを魅力的な人物として表現することで
ちょっと強引に観客を納得させてしまっても良いと思うのです。

だって、映画の中でオマール・シー演じるドリスはチャーミングですから。
少々粗野ではありますが、根底にある善良さとその笑顔は魅力的。
何より、ドリスが発する言葉はいつも真っ直ぐなんですよね。

エンディングでチラッと映っていた、ドリスのモデルとなったアブデルは
もうちょっと線が細い人のように見え、かなり印象が異なりました。
映画で表現されているのとは違った、フィリップがドリスに惹かれた理由が
あるんだろうなぁと、一瞬想像させるものがありました。
人と人との繋がりは永遠のテーマですから、興味はつきません。

冒頭、シリアスな雰囲気をかもし出しておいて、その後の展開で笑わせる、
こういったメリハリの効いた演出が良かったですね。
笑って楽しんでいる間に、113分が過ぎたという感覚です。
特にヒゲで遊ぶシーンは面白かったけど、例えに出てきた政治家(フランスの)の
顔を知らなかったのが、残念。

フィリップ役は、ギヨーム・カネ監督の『唇を閉ざせ』が記憶に新しいフランソワ・クリュゼ。
ドリス役のオマール・シーは初めて見たのかと思いきや、『ミックマック』に出演してたんですね。
どんな役だったのか、さっそく確認してみよう。
フィリップの秘書役は「SPIRAL〜連鎖〜」でダーティな弁護士を演じてたオドレイ・フルーロ。
彼女、クールな役が似合いますね。他にもフランスのドラマや映画で見た顔がちらほらと。
イヴォンヌと庭師のカップルも、ほほえましかった。

ドリスが好きなEarth, Wind & Fire
映画で挿入されていた“September”“Boogie Wonderland”が入ってるベスト盤は
今まで聴いたことがなくて興味を持った人には、持ってても損はない一枚かも。

The Essential: Earth, Wind & FireThe Essential: Earth, Wind & Fire
(2002/07/30)
Earth Wind & Fire

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もう一つ、ドリスのお気に入りとして名前があがってた Kool & the Gang
彼が好みはけっこうベタな感じなので、想像するにたぶんこのあたりを聴いてそう。

Celebration: The Best Of Kool & The Gang 1979-1987Celebration: The Best Of Kool & The Gang 1979-1987
(1994/06/07)
Kool & The Gang

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ちなみに、私のお気に入りはこの一枚。1970年代、ファンク色の濃い時代のアルバムです。

Wild & PeacefulWild & Peaceful
(1996/03/19)
Kool & The Gang

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映画の日だったとはいえ、シネコンで立ち見が出ているのは目撃したのは久しぶりかも。
私も、タイミングが合えばもう一度観に出かけたいと思います。

TOHOシネマズ なんばにて鑑賞。