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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ファウスト」 〜おおまじめに道化を演じる〜

faust

公式サイト:http://www.cetera.co.jp/faust/音が出ます!

監督・脚本:アレクサンドル・ソクーロフ
原案:ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
台本:ユーリー・アラボフ
共同脚本:マリーナ・コレノワ
音楽・製作:アンドレイ・シグレ
撮影:ブリュノ・デルボネル
美術:エレナ・ズーコワ
衣装:リディヤ・クリューコワ
編集:イェルク・ハウシルト
メイク:タマラ・フリド
(2011年 ロシア 140分)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
神秘的な森に囲まれた19世紀のドイツの町。
あらゆる地上の学問を探求したファウスト博士(ヨハネス・ツァイラー)は、
研究をつづけるために悪魔と噂される高利貸ミュラー(アントン・アダシンスキー)のもとを訪れる。
生きる意味を教えようと囁くミュラーに導かれたファウスト
純真無垢なマルガレーテ(イゾルダ・ディシャウク)と出会う。
一目で心奪われるファウストであったが、ミュラーの策略によって彼女の兄を誤って殺してしまう。
それでも彼女の愛を手に入れたいファウストは、自らの魂をミュラーに差し出す契約を結ぶ。
悪魔に翻弄されるファウストとマルガレーテの愛の行方は?ファウストが見出した生きる意味とは―?
(公式サイトより転記させていただきました)

おぉ、いきなり死体から内臓を取り出してる映像の連続で、グロい。
その人体がまた、微妙にリアルではないところが、ちょっと可笑しいけれど。

印象としては、物語というよりも個人の思いを想像により描いた世界だと解釈できるので、
つじつまが合わなくてもあたりまえ、という感じでしょうか。それをどう楽しめるかによって
この映画とコミットできるかどうかが決まりそう。私は、今ひとつでした。
焦点が合わないゆがんだ映像、奇妙な物体など、「ボヴァリー夫人」(1989年/2009年 ロシア)でも
多くみられた視覚的な刺激が、ますます作品の“カオス感”を強めています。

マルガレーテ役の女優さん、無垢な存在の象徴だとしてもなんだか幼さすぎるような。
ファウストとまるで親子ですやん! 
墓場のシーンでの彼女の表情は、見てはいけないものを見たような、気持ち悪さがありました。

粗筋自体は原作とはかなり異なっているようですが(マルガレーテとの関係や、その兄を
殺すいきさつなど)、ゲーテメフィストフェレスを道化師的役割で描いているらしいので、
どこまでも人をおちょくってるようなメフィストの印象は、結構忠実に描かれているのかしらん。
原作を読んでないので、なんとも言えないのが辛いところですが。。。。

今作と対照的だったのは、クラウス・マン「メフィスト-出世物語」が原作となっている
ドイツ映画「メフィスト」(1981年 イシュトヴァーン・サボー監督)です。
30年以上前に劇場で見た割には強烈な印象が残っているのですが、
この映画には、“悪魔メフィストフェレス”を演じ自らファウストとなった役者が登場します。
今回、久しぶりにパンフレットを取り出して見直してみました。
緊張感溢れる重い内容でどっと疲れた記憶はあるのですが、観た後の充足感はありましたね。
どちらがどうという事ではないのですが、今回のソクーロフ作品、個人的には物足りなさを感じました。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。