ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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「風にそよぐ草」 〜摩訶不思議な女ごころ、そして男ごころ〜

HERBES

公式サイト:http://www.kaze-kusa.jp/音が出ます!

監督:アラン・レネ
製作:ジャン=ルイ・リヴィ
共同製作:ヴァレリオ・デ・パオリス
製作総指揮:ジュリー・サルヴァドル
脚本:アレックス・レヴァル、ロラン・エルビエ
原作:クリスチャン・ガイイ
撮影:エリック・ゴーティエ
音楽:マーク・スノウ
ナレーション:エドゥアール・ベール
(2009年  フランス/イタリア 104分)
原題:LES HERBES FOLLES

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
ショッピングセンターで財布を拾ったジョルジュ(アンドレ・デュソリエ)は、
財布の中の小型飛行機操縦免許証の顔写真に心を動かされるが、
そのまま警察に届けることに。
その後、財布の持ち主マルグリット(サビーヌ・アゼマ)からのお礼の電話がかかってくるが、
素っ気ない雰囲気にジョルジュはがっかりしてしまう。
その翌日から、ジョルジュはマルグリットに手紙や電話で連絡を取り続け…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

誰一人として感情移入できる人物は出てこないけど、エスプリに富んだ映画という点では
「恋するシャンソン」(1997年)と似ています。今作品の方がもっとエキセントリックですが。

先日鑑賞した「最高の人生をあなたと」と、シニア世代の恋愛が題材となっているという部分、
そしてヨーロッパで製作された点が共通していますが、全くテイストが違うというかなんというか。
この映画を見た後では「最高の…」がますます平凡な作品に思えてしまうのは、私の好みの問題なのかも。
はっきりとした起承転結を求める人や、普段から「フランス映画って苦手〜」っていう方には、
あまりお薦めできない映画です。

原作者のクリスチャン・ガイイさんは全く存じ上げませんでしたが、
売れっ子作家さんのようで、翻訳された本が何冊かあるようです。

風にそよぐ草 (集英社文庫)風にそよぐ草 (集英社文庫)
(2011/10/20)
クリスチャン・ガイイ

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監督いわく、この小説のテーマは「欲望のための欲望」だと。
そういう点では忠実に映画化されているという印象を、原作を読んでなくても受けました。

なんでそうなるの?としばしば理解できない行動に走る登場人物達、
つまりは不条理な衝動に突き動かされる彼らが描かれていて、
ジョルジュにもマルグリットにも、心寄り添うどころか全く感情移入する事はありません。

それでも、独特なおかしみと可愛げで映画って面白くなるんですよね。
最後まで見て、なんだか煙に巻かれた感があるのですが(「猫になれば〜って!」)。

サビーヌ・アゼマは撮影当時おそらく60歳位ですが、いつまでも可愛いらしさがある女優さんです。
アルノー・デプレシャン作品常連のエマニュエル・ドゥヴォスとマチュー・アマルリックが
脇役で出演していて(主役で見るには苦手な二人ですが)、
作品に面白さをプラスする力と存在感を大いに発揮してます。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。

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