ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ミラノ、愛に生きる」 〜ザ・クールビューティ〜

SONO

公式サイト:http://www.milano-ai.com/

監督・原案・脚本: ルカ・グァダニーノ
共同プロデューサー: シルヴィア・ヴェントゥリーニ・フェンディ / キャンディーチェ・ザッカニーノ
脚本: バルバラ・アルベルティ / イヴァン・コトロネーオ / ウォルター・ファサーノ
美術: フランチェスカ・ディ・モットラ
衣装: アントネッラ・カナロッツィ
テーラード・ワードローブ: ジル・サンダー / フェンディ
料理監修: カルロ・クラッコ
(2009年 イタリア 120分)
原題:IO SONO L'AMORE

※ネタバレ含みます。

【物語のはじまり】
ロシア人のエンマ(ティルダ・スウィントン)は、繊維業で成功を収めたレッキ一族の
後継者タンクレディ(ピッポ・デルボーノ)に見そめられ、イタリアに渡り、裕福な一族の妻、
3人の子どもの母親として何不自由のない生活を送ってきた。
家長エドシニア(ガブリエーレ・フェルゼッティ)の誕生日を祝うために一族が集まったパーティの最中、
シェフのアントニオ(エドアルド・ガブリエリーニ)が長男エドアルド(フラヴィオ・パレンティ)を訪ねてくる。

歴史を感じさせる華麗な建造物や調度品、ジュエリーや美術品などの映像をてんこ盛りした感じ。
オードブルからスープ、メイン料理、チーズ、デザートまで豪華なコース料理をいただいて、
ほんの少し胃もたれした。。。。鑑賞後はそんな気分になりました。

ヴィスコンティを彷彿させる」そんなキャッチコピーは使わない方が良いと思います。
光のとらえ方からしてヴィスコンティ作品とは全く違う印象ですし、
観客にそこを意識させるという戦略は(見る前に変な先入観を与えるので)失敗だと、
個人的には思います。

半世紀前の映画のスタイルを意識したような、オープニング。
クレジット文字も古典的な書体を使い、遠景からミラノの雪景色をとらえた映像が美しく、
映画が始まるというワクワクした気持ちが高まります。

ティルダ・スウィントンは撮影当時49歳位なんですが、美しい!
様々な授賞式などで見る彼女はいつも中世的な雰囲気で、また
これまでの映画も感情を露にしない役柄というイメージだったので、
今回の役はとても新鮮な感じがします。

エンマはブルジョワのマダムですから、女性らしい高級ファッションにジュエリーを身につけ、
曲線を生かした柔らかなヘアスタイルでメイクもしっかりとほどこしています。
ところが、アントニオと二人だけの時間を過ごす彼女はラフなファッションにナチュラルメイク、
髪まで短く切り、その様子は、彼女の本来の姿が解放されたといった印象を見る者に与えます。
(無意識に)抑圧されていた時も、解き放たれた後も、どちらの彼女も素敵でした。

気になったのは、音楽がちょっとうるさかった事。
音楽で盛り上げるという演出は、そのサジ加減が難しいですね。
私は、逆にジャマに思えてしまいました。

料理が美味しそうで、エビにかかっているソースの味が気になったり、食欲をそそられます。
そういえば、エドが妹ベッタに渡したお土産のお菓子、ラデュレの袋だったような?違ったかな。
ロンドンからの帰りやのに、何故パリのお菓子?とちょっと疑問に思ったのですが。
そうそう、ロシアの魚スープ“ウハー”も、機会があれば食してみたいです。

ラストシーン、ハウスキーパーのイダの存在に救われた気がします。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。