ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「クリスマスのその夜に」 〜おうちへ帰ろう!〜

HJEM TIL JUL

公式サイト:http://www.christmas-yoru.jp/

監督・脚本・プロデューサー:ベント・ハーメル
原作・警備員〈カメオ出演〉:レヴィ・ヘンリクセン
(2010年 ノルウェー/ドイツ/スウェーデン 85分)
原題:HJEM TIL JUL

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
一年に一度、クリスマスの夜だけは、大切なひとと過ごしたい。
そんな願いを抱きながら、彼らは家路を急ぐ。
イヴを迎えたノルウェーの小さな町、結婚生活に破綻した男はサンタに変装し、
かつての我が家にもぐりこむ。子供たちにプレゼントを手渡したい一心で。
その友人の医師は、二度と故郷に戻れないと言う
コソボ出身のカップルの赤ちゃんを取り上げる。
ある少年は、ご馳走を囲む家族よりもクリスマスのお祝いをしない
イスラム教徒の女の子との時間を楽しんでいる。彼女の横顔をきらめく瞳でみつめながら…。
(チラシより転記させていただきました)

「ホルテンさんのはじめての冒険」から約3年ぶりのベント・ハーメル作品。

オープニングの展開にはちょっと驚かされました。ここはどこ?!と。
その答えはラスト近くであきらかにされます。

群像劇というよりは、つながりを持ついくつかのエピソードと、独立したエピソードとで成り立っています。
最初のうちは、それぞれの登場人物とその状況を把握するのに結構、集中力を要しましたよ。
なんだか、話が盛り上がりかけると次のエピソードに切り替わってしまうような気がして、
気持ちの切り替えがうまくついていかないというか。

チラシのメイン画像を見ると、ほのぼのとした幸せな時間。。。。そんなシーンを想像するのですが、
映画を見た後には、とっても皮肉なショットに感じられます。
登場人物達の多くは孤独や問題を抱えていて、その人生は決して甘くない。
その中に、人間の可愛らしさや寛容さ、可笑しさなどが織り込まれていて
ハーメル監督らしい、ちょっとビターな味わいのある物語に仕上がっています。

狙撃兵の女性が過去に選択した行動が、つながっていく“命”の象徴なのだと感じられるラストシーンです。
この二人が見上げるオーロラのカーテン、そしてトマスとビントゥが見る星空に燦然と輝くシリウスなど、
希望のシンボルともいえる映像に、胸うたれるのです。

クリスマスというのは、宗教に関係なく何か特別な気持ちにさせる力のある日ですね。
特にこの極寒の地では、真っ白な世界にモミの木とそれを照らす光の美しいこと!
ヨルダンが汽車の窓から見た、雪原の中でポツンと光るツリーはなんだったんでしょうか。

シネ・リーブル梅田にて鑑賞。