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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ロベール・ブレッソンの芸術「スリ」「ラルジャン」(ニュープリント版)

公式サイト:http://www.eiganokuni.com/meisaku3-bresson/音が出ます!

紀伊國屋書店とマーメイドフィルムによる「映画の國名作選」シリーズ。
イタリア編「暗殺の森」「フェリーニの道化師」「ロベレ将軍」、
クロード・シャブロル未公開傑作選に続く第三弾として、
ブレッソンの2作品が上映されました。

今後、こういったシリーズが続いていくと良いんだけど。
現在(大阪では11/12から)スクリーン上映されている「アンダーグラウンド」も
同じく紀伊國屋レーベルの作品なんですね。

PICKPOCKET

<スリ>PICKPOCKET 1959年/フランス/74分
手先が器用な為、スリをして生計をたてている貧しい大学生と彼を慕う女の物語。
スリの驚くべき手口がドキュメンタリータッチで描かれ切ない恋愛と
サスペンスたっぷりの犯罪がクールに交差する傑作!

<ラルジャン>L'ARGENT 1983年/フランス=スイス/85分
80歳を超え自身の映画美学の真髄を究めた遺作。偶然握らされたニセ札をきっかけに
一家惨殺事件を引き起こし転落した青年。手の表情を繊細にとらえた映像の数々は圧巻!

(以上、チラシより転記させていただきました)

「抵抗(レジスタンス)」ほどではないですが、見ている間の緊張感が強くて軽い疲労を感じます。
一日に一作品の上映なので二日連続で劇場に足を運びましたが、結果的にそれで良かったかも。
中身が濃いという意味でも、連続して見るのはちょっとしんどいですね。


二作品とも、余計なモノを削ぎ取ったようなむきだし感があり、
変におもしろみや風情を出してやろうというような、商業的な色気を感じさせないのが良い。

二つの映画の展開・結末は対照的。
「スリ」は、愛を見つけた男が真の人生にめざめたように感じられる一方、
ラルジャン」の男は愛を見失い、人生を失っていく。
晩年のブレッソンは、悲観論者だったのかな。
少しの希望もない理不尽な世の中が映し出されているよう。

「抵抗(レジスタンス)」が緻密な計算と執念とも言える行動力で自分の道を切り開いた青年が主人公
だったのとは違い、今回は主人公達自身に寄り添って成り行きを見守るといった物語ではありません。

「スリ」の主人公ミシェルが「非凡な才能をもった人間は法を犯す自由が認められるべきだ」等という
意見を披露するのが、いかにも個人主義の強い国の若者が言いそうやなぁという気がして面白い。
ドストエフスキーの原作でも、こんな言葉が登場するのかな?
追記:「罪と罰」の主人公の「非凡な人間は人類の利益のための殺人を行う権利がある」(みたいな)
思想とも似通っている気がするので、もしかして、これはブレッソン版「罪と罰」といったところなんでしょうか?
ジャンヌ=ソーニャという事? だとしたら、原作という表現はちょっと違いますよね。
翻案といったら良いんでしょうか。

ミシェルを演じた方、なんだか常に目を見開いてるようで表情が怖いです。
正直、かんじんの手の動き(スリだけに)よりも、彼の顔の不気味さばかりが気になってしょうがなかったです。

“目”といえば、「ラルジャン」のイヴォンは、そのまなざしがクローズアップされなかったですね。
“手”のアップはあったのだけれど、イヴォンの顔がはっきりと映った記憶もあまりない。
これには、じっくりと人物の表情がとらえられる他の作品とは異なる印象を受けます。


ブレッソンの作品は、「罪の天使たち)」も含め、まだ4本しか見ていない事になるんですが
できれば全部見たい!という気持ちが高まりました。

紀伊國屋レーベルの映画DVDがレンタルできる“映画の國 WEB STORE”でも
今回上映された二作品しかレンタルできないみたいです。

特に見たいこの二本はDVD欲しい!けど、高いですね。BOXも出てますがやっぱりお高いわぁ〜。

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アンヌ・ヴィアゼムスキー、ヴァルテル・グリーン 他

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十三第七藝術劇場にて鑑賞。