ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「禁じられた遊び」 〜子供達の魅力〜

JEUX INTERDITS

監督:ルネ・クレマン
脚本:ルネ・クレマン、ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト
原作:フランソワ・ボワイエ
製作:ポール・ジョリ
音楽:ナルシソ・イエペス
撮影:ロベール・ジュイヤール
(1952年 フランス 87分)
原題:JEUX INTERDITS

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1940年6月、南仏の田舎町。機銃掃射で両親を失い、
さまよっていた5歳の少女ポーレット(ブリジット・フォッセー)は、
少年ミシェル(ジョルジュ・プージュリー)と出会い、彼の家に連れていってもらう。
(“午前十時の映画祭”のサイトより転記させていただきました)

ポーレットがジャック・ラッセル・テリアのジョク(飼い犬)を追いかける事から、
彼女の運命は変わってしまう。
ドイツ軍の攻撃による両親の死が、なんともあっさり描かれていて、
その死に直面しても実感が伴わないポーレットの様子に、見ている私も
母と娘のワンピースが同じ水玉の生地で手作りっぽくて可愛いなぁ、などと
別の事をぼんやり考えていた。

スクリーンでは初鑑賞のこの映画、子供の頃テレビで見たきりやったけど、
記憶にある印象よりもはるかにドライでコミカルなタッチ。
新しい犬がもらえると聞いたとたんにジョクを放置する場面では、笑いが起きていた。
これは、小さなポーレットがまだ“死”というものを認識していないからかもしれない。
しかし、ラストシーンでは“死”の意味とそこにまつわる感情に目覚める彼女の姿が、
見る者の涙を誘う。

ポーレットとミシェル、この二人の子供達がなんとイキイキとして可愛いことか!
都会育ち、お洒落で清潔なポーレットは、ハエの入ったミルクは受け付けないし、
「カフェオレが飲みたい」などと言う。そんな彼女を喜ばせたい一心でミシェルは奔走する。
墓地で十字架を盗んだ帰り道、ミシェルに怖くないかと聞かれ、強がるポーレット。
半べそをかきながらも彼女が歌う「愉快なギムリは死んでしまう♪」という変な歌詞が面白い。

彼の母親や姉たちもポーレットに愛情を示しているように思えただけに、
ためらいもなく赤十字に引き渡してしまう展開には、ミシェル同様落ち込んでしまいそうになった。
それにしても、ラストシーンがせつない。

ウィキペディアには、この映画ではオーケストラで演奏する予算が無かった為に、
サウンドトラックではギター一本の演奏になったと記載がある。
それが本当だとしたら、結果的にその事が映画に良い効果をもたらしたと言える。
舞台となる村の素朴で貧しい雰囲気には、このギターだけの音楽がしっくりきている。

TOHOシネマズ なんばにて鑑賞。