ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「さすらいの女神(ディーバ)たち」 〜魅せる女たち〜

TOURNEE01

公式サイト:http://www.ontour.jp/音が出ます!

監督・脚本:マチュー・アマルリック
製作:レティシア・ゴンザレス、ヤエル・フォギエル
脚本:フィリップ・ディ・フォルコ、マルセロ・ノヴェ・トレ、ラファエル・ヴァルブリュンヌ
撮影:クリストフ・ボーカルヌ
編集:アネット・デュテルトル
美術:フレデリック・ブリュム
装置:ステファーヌ・タイヤソン
小道具:クリストフ・オフレ
衣装:アレクシア・クリスプ=ジョーンズ
(2010年 フランス 111分)
原題:TOURNEE

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
かつては名を馳せたTVプロデューサーのジョアキム(マチュー・アマルリック)。
トラブルを起こし業界から干されてしまった彼は、子供も友人も恋人もすべてを捨ててアメリカに渡る。
数年後、華麗なショーダンサーたちのグループ<ニュー・バーレスク>を引き連れ、
再起を図るため、意気揚々と祖国フランスへ戻ってくる。(公式HPより転記させていただきました)

どこか、その日暮らし的な哀愁も感じさせるロードムービー

“ニュー・バーレスク”とは、17世紀末にイギリスで発祥したキャバレーショーのひとつ
バーレスク”の進化形のことらしいです。詳細は公式HPを見てください♪

このニューバーレスクの現役パフォーマー達が出演者なんです。
そのせいか、冒頭の楽屋のシーンからリアルな空気感があります。
「付けマツゲの糊はどこ?」なんていう何気ない会話から、ミラー越しに映し出される空間の広がりや、
女性達のたっぷりと贅肉のついた肢体の迫力などナド。
真っ暗だった楽屋に少しずつ灯りがともされ、人が集まってくる様子も好ましくて、
最初からこの映画の持つ雰囲気に引き込まれました。

TOURNEE02

ダンサー達は、お肉たっぷりけっこう太めな体つき&若くない。
けど、なんですかね。このゴージャスな感じ。そんな彼女達をとらえた瞬間・瞬間が美しくて、
今までの美意識がちょっと覆されたという感じ。

そして、マチュー・アマルリックは人としてどうなのよ!と回りに思わせてしまう人物像を
演じると上手いなぁ。この落ちぶれた雰囲気がいかにもダメダメな感じで。
ジョアキムは父親としてもシャキーンとしてなくて、親子関係にも問題ありな様子。
だいたい、元愛人が入院している病院に子供同伴で行くって。。。。やぶれかぶれすぎるやん。
それでも、親子共にお互い愛情を持ち続けているんだなぁと感じさせる瞬間があるのが救いです。

そんなダメ父ジョアキムも、ショーダンサー達の優しさと大らかさに包まれて
いい意味で開き直ったのかな?!と感じさせるラストも素敵。

マチュー・アマルリックが本作のきっかけになったと語っているのが、
フランスの女流作家シドニー=ガブリエル・コレットがミュージック・ホールで
踊り子をして働いていたころの手記「ミュージック・ホールの内幕」(L'Envers du music-hall)。
コレットが書いた「シェリ」原作の「わたしの可愛い人―シェリ」という映画もありましたね。
こちらは、豪華でお洒落な一本でした。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。