ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

三大映画祭週間2011 その4「唇を閉ざせ」

公式サイト:http://sandaifestival.jp/index.html

tell no one

監督:ギョーム・カネ
(2006年 フランス 131分)
原題:Ne le dis a Personne

※ネタバレ含みます。

アレックス(フランソワ・クリュゼ)は妻マルゴ(マリ=ジョゼ・クローズ)と訪れた湖畔で
突然何者かに襲われ、湖に沈められる。
奇跡的に助けられた彼だったが、マルゴはその後惨殺死体で発見される。
しかし、8年後、マルゴを名乗る見知らぬメールがアレックスの元へ届く。
そして、そこには「このことは誰にも言わないで」という一言が…。
(公式HPより転記させていただきました)

2007年のセザール賞で最優秀監督賞・男優賞を受賞という、ギョーム・カネ監督のこの作品、
やっと日本で公開です。とは言っても特別上映という形なので、上映時間・回数も限られていて、
多くの方は鑑賞できないですよね。

カンヌで賞をとった作品なんかは、比較的早い時期に公開されてるイメージなんですが、
セザール賞に関しては未だに日本で見られない作品もあるのが、残念です。

ギョーム・カネの長編監督作品は今のところ3作品あるようですが、私は初めて。
石楠花の花が咲き誇る湖畔への小道だとか、幼馴染との初恋の想い出、二人で気に刻んだ名前等。
こういった、美しかったり印象的な情景が映画の中でちゃんとおさえられてて、上手いなぁと思います。

登場人物が多くて、ちょっと頭がこんがりそうになりましたが
(ジャン・ロシュフォールの息子が誰なのか、なかなか理解できなかった)
プロット自体が面白いのもあって、最後まで緊張感を持続したまま楽しめました。
見ごたえのあるサスペンスです。

序盤、大勢で食事をしている時の妻の表情がなんだか暗かったり、
馬術競技の場で殺し屋がアップになったり、
結構ヒントは出してくれてるんですけどね。鈍いわ〜、私。

結婚式と葬式をシンクロさせ、幸せの絶頂と絶望の淵に立つ人々の表情を対比させる表現は良いんですが、
ちょっとオセンチな回想シーンが長めという気がしないでもなかったです。

アレックスが後半助けをもとめるヤクザのブリュノは「この愛のために撃て」
ジル・ルルーシュです!
「この愛〜」では必死のパッチで逃げていた彼は今回、アレックスを逃がす役目を負います。
ジル・ルルーシュについて今回ちょっと調べてみると、ギョーム・カネ主演の「ナルコ」(2004)の
監督・脚本に携わっていたと知りました。才能豊かな人なんですね。
「ナルコ」をはじめ、「世界でいちばん不運で幸せな私」(2003)、「輝ける女たち」 (2006)、
「PARIS」(2008)にも出演してたらしいんですが、全く記憶に無いので見直してみなくては。

どう見てもマリナ・ハンズの弟役には無理がある気がする(兄ならわかるけど。父親でも良い位やん!)
というフランソワ・クリュゼですが、今回は冴えない役ではなく、渋さも感じさせます。
その他にもナタリー・バイやクリスティン・スコット・トーマス、アンドレ・デュソリエ他、
有名どころが贅沢に出演しております。カネ自身も事件のキーとなる人物として登場してますよ。

そんな豪華な俳優陣以上に印象的だったのが、アレックスの忠実なパートナーでもある犬、
(ブービェ・デ・フランダース)です。そう、あの「フランダースの犬」のパトラッシュで有名な。
(日本のアニメでは何故かシベリアンハスキーみたいな見た目になってますが)
大きくてずんぐりむっくりで可愛い!個人的には好みのタイプなんですが、
日本みたいに湿度の高い国で飼うのは可哀想な気もします。

唇を閉ざせ〈上〉 (講談社文庫)唇を閉ざせ〈上〉 (講談社文庫)
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唇を閉ざせ〈下〉 (講談社文庫)唇を閉ざせ〈下〉 (講談社文庫)
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原作本↑ですがアマゾンでは現在、中古品しか扱っていないようですね。なんでかな?
米ミステリー作家らしいハーラン・コーベン、今回初めて知った私ですので、よくわかりませんが。
新たにベン・アフレックにより映画化されるようです。

テアトル梅田にて鑑賞。