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ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「ミラル」 〜共存への道のりは厳しい〜

映画 ま行

MIRAL

公式サイト:http://www.miral.jp/

監督:ジュリアン・シュナーベル
プロデューサー:ジョン・キリク
原作・脚本:ルーラ・ジブリール
エグゼクティブプロデューサー:フランソワ=ザヴィエ・デクラーヌ
共同プロデューサー:エラン・リクリス
撮影監督:エリック・ゴーティエ
編集:ジュリエット・ウェルフラン
プロダクション・デザイン:ヨエル・ハーツバーグ
衣装:ワリードゥ・マウェドゥ
キャスティング:ヤエル・アヴィヴ
プロデューサー補・助監督:セバスチャン・シルヴァ
(2010年  フランス/イスラエル/イタリア/インド製作 112分)
原題:MIRAL

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1948年のイスラエル建国直前。路上にうずくまる子どもたちを見かねたヒンドゥ(ヒアム・アッバス)は、
子どもたちを育てることを決意。孤児院の子どもたちは増えていき、
母親を亡くしたミラル(フリーダ・ピント)も連れてこられた。
1987年、17歳になったミラルはイスラエルに蜂起したパレスチナ人によるインティファーダに参加。
しかし、警察に連行されてしまい…(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「ミラル」という女性の名前がタイトルですが、彼女が主人公という訳でもありません。
始まりは1948年。裕福な家出身のヒンドゥという女性が、戦災孤児たちのために
私財を投じて孤児院と学校を作るところから始まります。
ヒンドゥからナディア、ファティマ、そしてミラルと4人の女性の話が不思議に繋がっていくのです。

ミラル役は、「スラムドッグ$ミリオネア」で主人公ジャマールの運命の女性を演じていたフリーダ・ピント
インドの人というイメージが強くてアラブ系には見えないのがちょっと残念ですが、
思春期の危うさと、向こう見ずな感じがよく表現されてたと思います。

パレスチナ難民キャンプでイスラエル兵の破壊行為に遭遇したミラルは
抵抗運動に加わるようになるのですが、暴力では何も解決できないというヒンドゥの忠告にも
耳をかすことはありません。色んな事の経験不足や勉強不足、若気の至りといったところでしょうか。

その思い込みの激しさは、不思議な事に血が繋がっていないはずの叔母ファティマとも
通じるところがあります。そんな彼女らと対照的な存在が父親のジャマール、愛の人です。
そういえば、ファティマが無差別テロを仕掛けようと入る映画館で、上映されているのが
何故かロマン・ポランスキー監督の「反撥」なんですが、監督が好きな作品なのかしらん。

ヒンドゥ役は、自身がイスラエル・パレスチナ紛争を体験しているヒアム・アッバス。
ウィレム・デフォーヴァネッサ・レッドグレイヴが少しだけ登場するという、贅沢なキャスティング。
ヴァネッサ・レッドグレイヴの館で催されるパーティの様子を見ると、
イスラエル建国前の時代は、民族はお互い折り合いをつけてそれなりに共存してたんやろなぁ等と
想像されます。建国とその方法がやっぱり強引すぎるよなぁ、という気持ちは持ってしまいますね。

ジュリアン・シュナーベル監督はユダヤ系アメリカ人にもかかわらず、
こういった視点で作品をつくった事に拍手したいと思います。
インタビューで「映画をつくるにあたり、家族から反対を受けた」的な事を言ってはりました。
この映画が普通にユダヤ人社会で受け入れられる、そんな時代が早く来るといいですね。

ヒンドゥが語っていたようにミラルの存在は“希望”そのもの。民族や宗教の相違を乗り越え
人々が共存する未来の象徴として、彼女の名前がタイトルになっているのかもしれません。

シネ・ヌーヴォにて鑑賞。