読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「シベールの日曜日」 〜変わらない景色のある町〜

映画 さ行

シベールの日曜日 HDニューマスター版 [DVD]シベールの日曜日 HDニューマスター版 [DVD]
(2010/06/26)
ハーディ・クリューガー、パトリシア・ゴッジ 他

商品詳細を見る

監督:セルジュ・ブールギニョン
脚本:セルジュ・ブールギニョン、アントワーヌ・チュダル
製作:ロマン・ピヌス
原作:ベルナール・エシャスリオー
(1962年 フランス製作 116分)
原題:Cybele ou les Dimanches de Ville d'Avray

【ストーリー】
第一次インドシナ戦争で心に傷を負い記憶喪失となったピエール(ハーディ・クリューガー)は、
ある日駅で、娘(パトリシア・ゴッジ)を連れた父親に修道院の場所を尋ねられる。
泣いている少女の様子が気になるピエールは、親子の後をつけるのだが…。

悔しくて、切なくて。

先週見た「太陽がいっぱい」のギラギラした日差しとビビッドな色彩とは対象的な、
モノクロでどこか幻想的な世界感。どちらも撮影は、アンリ・ドカエです。
湖で二人が過ごすシーンは、やっぱり心に染みるものがあります。
プリズムを通して見えた景色やモノ、水面に現れる波紋等、
子供の頃に惹かれた何気ない事の一つ一つが、少しずつ蘇るような感覚です。

フランソワーズのピエールに対する態度が、すでに一人前の女なのが良いですよね。
「私をお母さんだと思って何でも話していいのよ」なんて。

登場人物の中で、マドレーヌはどうしても好きになれないんです。
「同僚のベルナールが自分に気があるようだ」とピエールに言う場面も厭らしいし、
そのベルナールに電話で助けを求める態度から、彼女の狡さのようなものを感じます。
彼女の愛し方が一方的で重い。。。。というのも原因なんですが。

この映画からは、反戦のメッセージと共に、人が理解しがたいものを拒絶し憎悪する事への
警告のようなものを感じますが、その象徴的な存在は芸術家カルロスの妻です。
そういう女性がカルロスの妻なのが、なんとなく不自然な気もしますね。

他にも、フランソワーズとピエールの様子を見ていったんは安心していたマドレーヌが、
何故クリスマスの夜にあれだけ取り乱したのかも不思議ですし、
「過去に戦争で子供を殺してしまった経験から、新たに子供を殺害する危険がある」というのは
突拍子のない発想という気がするし。
改めて観ると、話の展開に強引さを感じる部分も結構あります。

劇中で、コローがこの地を描いたという会話がでてきます。
この映画の原題は「シベール ヴィル・ダヴレーの日曜日」ですが、
「ヴィル・ダヴレー」にちなんだカミーユ・コローの絵は何点かあるようですね。
Corot

コローの生きた時代から現代まで変わらない風景が存在するのは、素晴らしい事だと思います。

ここのところ「午前十時の映画祭」では、御馴染みやけど劇場では初鑑賞というフランス映画の
上映が続いていて、嬉しいかぎり。こういう企画はずーっと続けて欲しいです。

TOHOシネマズ なんばにて鑑賞。