読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「蜂蜜」 〜五感が研ぎ澄まされる、そんな感覚〜

公式サイト:http://www.alcine-terran.com/honey/音が出ます!

BAL

監督・脚本・製作・編集:セミフ・カプランオール
脚本:オルチュン・コクサル
撮影監督:バルス・オズビチェル
美術監督:ナズ・エライダ
音響:マッティアス・ハエブ
ユニット・プロダクション・マネージャー:アクセル・カンベル
編集:アイハン・エルグルセル、スーザン・ハンデ・ギュネリ
共同製作:ヨハネス・レクスィン、ベティーナ・ブロケンパー
(2010年  トルコ/ドイツ)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
6歳のユスフは森林に囲まれた山岳で両親と一緒に暮らし、
養蜂(ようほう)家の父と森で過ごす時間が大好きだった。
ある日、森のハチが姿を消してしまい、父はハチを捜しに森深くに入っていくが、
その日を境にユスフの口から言葉が失われてしまう。
やがてユスフは、一人で幻想的な森の奥へ入っていくが…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

森の中の情景、木洩れ日とそよぐ風。不必要な照明も余計な音楽もない、長回しの映像。
段々と聴覚が鋭くなっていくような、そんな静寂な時間。
そこに馬を引いた人物が現れ、縄をかけた一本の木に登り始めます。
ここで思わず息を呑むような瞬間があり、タイトルクレジットへと。

この最初のシーンを見た時点で、引き込まれました。
映画にも一目惚れというものがあるとしたら、こういう感じかもしれません。

トルコでは、木のとても高い所に蜂蜜の巣箱をかけて蜂蜜を採るんですね。
ここ何年かミツバチ激減の問題が話題となっていますが、
映画の中でも蜂たちが姿をあらわさない為に、ユスフの父は巣箱を置く場所を遠い所まで
探しに出かけます。どうやらこの一家にとって、蜂蜜は大きな収入源のようです。
ユスフ役の男の子がとても可愛くて、「ミツバチのささやき」のアナを思い出しました。

ある日夢をみたユスフですが、父に「夢を人に聞かれてはいけない」と言われ、
こっそりと父の耳元でささやきます。作品の中では、果たしてこれは
ユスフの夢なのか現実なのか、はっきりとわからないショットが幾度も登場します。
水に映った月をつかもうとするシーンは、現実やったんかなぁ。
見ているこちら側がユスフの白昼夢の中にいるような、そんな感覚でもあります。

ナレーションによる説明やセリフではなく、映像描写によって少年の心情を表現しています。
落ち込んでいる母と励まそうとしているのか、今まで口をつけなかったミルクを
飲み干すユスフ。父が飼っていた鷹の気配をおいかけ、森の奥に入っていくユスフ。
そんな神秘の森の包まれ、ユスフはまた夢を見ているようです。

ユスフ3部作とは第1部「卵」、そこから過去にさかのぼった第2部「ミルク」、
さらにユスフの幼少期を描いたは第3部「蜂蜜」の3作品ですが、
来週からはこの「卵」と「ミルク」も上映されます。ぜひ観に行かなくては!
「蜂蜜」の半券を提示すると、千円で鑑賞できるみたいですよ〜♪

テアトル梅田にて鑑賞。