ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「奇跡」 〜夏休みの情景〜

公式サイト:http://kiseki.gaga.ne.jp/音が出ます!

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監督・脚本・編集:是枝裕和

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
離婚した両親がやり直し、再び家族4人で暮らす日を夢見ている航一(前田航基)。
母親と祖父母と鹿児島で暮らしながら、福岡で父親と暮らす弟・龍之介(前田旺志郎)と連絡を取っては
家族を元通りにする方法に頭を悩ませる航一は、九州新幹線全線開通にまつわるうわさを聞きつけ、
ある無謀な計画を立て始める。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

子供達が主役のこの物語からは、遠い昔過ごした、懐かしい夏の匂いがしました。
とはいえ、季節は夏ではなく、夏休みの出来事を描いている訳でもないんですが。

実際、冒頭に「もう夏じゃないんだから、髪を乾かしてからプールから帰りなさい」という
航一の母のぞみ(大塚寧々)のセリフもあるし。けれども、航一はいつもランニング姿やし。
この姿が小さいおじさんみたいで、ちょっと笑えました。

九州新幹線全線開業は今年3月12日でした。忘れもしません。3月11日の翌日ですからね。
3月といえば、九州でもまだ暑いという気候ではないはずですが、
この“すれ違う列車を見る”という冒険に出かける子供達の中で、
航一だけ一人半そで姿で、夜はまたまた龍之介と二人でランニング姿を披露しています。
ここらへんは、監督のこだわりがあるんかなぁ。

いよいよ一番列車がすれ違う、その瞬間の直前にはさまれる様々なカットがすごく良いです。
それは、コスモスの種やったり、洗面器につけられた水着やったり、ガリガリ君やったり。
それまでの生活が一瞬の内に航一の頭をよぎり、彼に自分の事よりも“世界”を選択させたんでしょうか。
是枝さんの、こういうセンスが好きやなぁ。

笑いもたくさん。
「ヘビ?」「幽霊ちゃうの?」
「それは新世界やんか」等というセリフの他にも、
夫婦喧嘩をする健次(オダギリジョー)とのぞみを前に、兄弟二人がとる態度とか。
(これが、兄弟それぞれの個性が出てて面白かった)

主役の二人も良かったけれどちょっとオーバーアクト気味なので、
他の子供達のナチュラルな雰囲気がすごく光っていました。

航一が友達二人と、それぞれが望む奇跡を告白するシーンは
まるでドキュメンタリーみたいなタッチで、「誰も知らない」(2004年)同様、
子供達をイキイキと描くのが上手いなぁという印象です。

ところで、阿部寛さん演じる“勘違い先生キャラ”は良いとしても、
使われていた鹿児島の言葉はどうだったんでしょうか? 
地元の方に聞いてみないとわからないですが、聞いてて何か違和感があったんで、ちょっと残念。
この先生と、三村先生(長沢さまみ)や保健室の先生が出す可愛さとのギャップは良かったですけどね。

かるかんの味が「ぼんやり」→「うっすら」→「ほんのり」に到達した時が、大人になったという事なんかも。
なんて、ふと思ったりして。そういえば、かるかんて長いこと食べてないなぁ。

大阪ステーションシティシネマにて鑑賞。
↑ここのメンバーカード(という名称も変やけど)、貯めた鑑賞ポイントで交換できる特典がショボすぎる。
ポップコーンとかドリンクは要らないので、鑑賞チケットと交換できるように是非改善して欲しいところです。