ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「神々と男たち」 〜摩訶不思議なるは、人の心〜

DES HOMMES

監督・脚色:グザヴィエ・ボーヴォワ
製作・脚本・脚色:エティエンヌ・コマール
撮影:キャロリーヌ・シャンプティエ
(2010年 フランス)
原題:DES HOMMES ET DES DIEUX

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1990年代、アルジェリアの人里離れた村にある修道院では、
カトリックの修道士たちが共同生活を送っていた。
戒律を厳格に守り信仰に身をささげる一方、地域の診療所としても機能する修道院には、
毎日地元の住民たちが訪ねてきていた。
修道士たちはイスラム教徒の地元民と良好な関係を築いていたが、
アルジェリア内戦による影響が出始め…。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

久しぶりに、ずっしり重いけれど見ごたえのある映画に出逢いました。

1996年のアルジェリアが舞台なんですが、修道院の中は中世のまま時が止まっているようです。
電話等はあるものの、薪を火にくべ、畑を耕し蜂蜜を採りそれを市場で売るという生活は、
何百年も変わらず営まれてきたものなのでしょう。

北海道のトラピスト修道院やその女子版トラピスチヌ修道院は、ここで登場する修道士が属する
カトリック厳律シトー会の修道院のようです。なるほど〜。北海道土産で、これらの修道院で
作られたクッキー等を何度かいただいた事がありました。
映画の中でも、修道士が蜂蜜をビンに詰めラベルを一枚一枚貼る様子が映し出されていました。
こういう多くを持たない、まさしく“清貧”といえる生活を見ていると清清しい思いがします。

また彼等は、修道院のある土地に根ざした宗教に敬意を払い、異なる文化を持つ村の生活にとけこみ、
医療活動はもちろん、村人の良き相談相手・理解者となっているのが素晴らしいですね。

けれど、見ている間の緊張感が半端じゃない。絶え間なく続く重苦しい空気に押しつぶされそうになる。
テロの危険を感じた修道士が夜眠れなかったとしても、当然でしょう。
信仰と生きる事への執着との間で揺れる彼等の心の揺れ、その緊迫感にこちらまで息苦しくなります。
私やったら真っ先に逃げ出す自信がありますよ。情けないけれど。

DES HOMMES02
「死を恐れない。私は自由だ」と言っていたリュック。マイケル・ロンズデールはやっぱり良いなぁ。
アメデ修道士も可愛いかった。

戒律の厳しい宗教が放つおごそかな雰囲気には、心惹かれるものがあります。
修道士達の歌う聖歌、そして祈りをささげるその身の上に射す光の美しいこと。
DES HOMMES03

クリスチャンが読んでいると言っていたパスカルの「パンセ」、私もちゃんと読みたい。

パンセ (中公文庫)パンセ (中公文庫)
(1973/12)
パスカル

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梅田ガーデンシネマにて鑑賞。