ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「再会の食卓」 〜可愛い顔して残酷な事言わはるわぁ〜

公式サイト:http://shokutaku.gaga.ne.jp/音が出ます!

APART TOGETHER

監督・脚本:ワン・チュアンアン
脚本:ナ・ジン
(2010年 中国)
原題:APART TOGETHER

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
40数年ぶりに台湾から上海に戻ってきたイェンション(リン・フェン)だったが、
生き別れた妻ユィアー(リサ・ルー)には別の家庭があった。
「台湾で一緒に暮らしたい」というイェンションの申し出に、
心を揺り動かされるユィアー。家族たちがさまざまな反応を見せる中、
ユィアーはある決断をする。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「トゥヤーの結婚」のワン・チュアンアン監督作品。

蒋介石が台湾に逃れた経緯を漠然と知っていても、中国国民党の兵士とその家族については
これまで考えた事もありませんでした。ここでも家族の離散という悲しい歴史があったんですね。

今回感じた事は大きく二つ。

一つは、変わりゆく中国・上海の開発によって生活を変えざるを得ない
昔からの住人達の、時代に取り残されたかのような孤独感のようなもの。
この映画を見て「胡同の理髪師」に出演されていた靖奎さんはご健在なんだろうかと、気になりました。
ユィアーの現在の夫ルー役のシュー・ツァイゲンが、どことなく靖奎さんに似ていたのも原因の一つかと。

もう一つは、夫婦という関係も様々やなぁという事。

私もルー同様軽くショックだったのは、ユィアーの「愛はなかった」という言葉です。
単純に、数十年も生活を共にした夫よりも一年だけ結婚していた元夫を選ぶのか?という
驚きもありましたが。

ユィアーは生活の為にルーと一緒になり、ルーは同情からユィアーと暮らした経緯が語られます。
たとえ最初はそうでも、その相手と子供を二人も儲け月日を重ねる間に夫婦関係は変化し、
そこには何かが生まれていただろうにと想像するんですが。
または、最初から夫婦ではなく友人として助け合えば良いのでは?と思うのは、
あまりにも奇麗事なんでしょうか?

逆に言うと、一番好きだと思える人と生きる事ができなかったユィアーの悲しさも感じられました。
けれど、日常と化している夫よりも久ぶりに会った元夫に非日常的なトキメキを感じてるだけかもと、
意地悪い見方もできます。
単純に生きてきたせいか、男女の事はやっぱりよくわからないというのが、正直なところです。

離婚する為に正式に結婚するという行動と、婚礼写真のシーンがコミカルでした。
逆にラストは切なかったな。高齢者を高層マンションに押し込めてはイカン!ですヨ。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。