ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「愛する人」 〜エモーショナルな“揺れ”が心地よい〜

MOTHER AND CHILD 01

公式サイト:http://aisuru-hito.com/index.html音が出ます!

監督・脚本:ロドリゴ・ガルシア
製作:ジュリー・リン、リサ・マリア・ファルコーネ
製作総指揮:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
撮影:ハビエル・ペレス・グロベット
音楽:エド・シェアマー
(2009年 アメリカ/スペイン)
原題:MOTHER AND CHILD

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
年老いた母親を介護し、毎日忙しく働いているカレン(アネット・ベニング)。
そんな彼女には、14歳で妊娠・出産するものの、やむを得ず子どもを手放した過去があった。
一方、母を知らずに育ち、弁護士としての輝かしいキャリアを持つ37歳のエリザベス(ナオミ・ワッツ)は、
思わぬ妊娠をきっかけに母への慕情を意識し始める。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「彼女を見ればわかること」や「美しい人」のロドリゴ・ガルシア監督の最新作。楽しみにしてました。
女性が主役で男性はそれをささえる存在といったスタンスは、この映画でも同じでした。
複数の人物が登場しその人生が交差しますが、「彼女を見ればわかること」よりも
さらに人物間の関わりは深いものになっています。こういう描き方は結構好みです。

男女の関係も色々とありますが、母と娘の関係も様々ですね。

生き別れた我が子を毎日想う母と、自ら子供を宿した事で母を思うようになる娘。
“養子”という形で子供を授かろうとする娘と、その娘を気遣う母。
身ごもった子供を手放そうとする若い娘と、その娘に自らの若い時を重ね合わせる母。
盲目の娘を心配する母親と、その母と素直に話せない娘。

そして、母親の介護をしているカレンは、亡くなった後に母親が抱えていた感情を知り
ショックを受けるのですが、この親子関係が私には一番寂しく感じました。
お互いに愛情を持っていればこそ、相手に自分の思いを伝える努力は必要ですね。
たとえ“言葉”というものが本当の気持ちを伝えるツールとして不完全であったとしても。

ガルシア監督の作品は物語の面白さというよりも、ある瞬間における登場人物の
心の揺れや変化のとらえ方の面白さに惹き付けられるといった感じでしょうか。
上手く言えないのですが、登場人物の気持ちの変化に自然に寄り添えるのです。

アネット・ベニングも良かったんですが、ナオミ・ワッツが特に光ってました。
彼女が演じるエリザベスという人物は私のお気に入り。あのお腹(妊婦姿)は本物だったなんて!
いい人ぶる隣人には残酷な仕打ちもするエリザベスが、ポールの家に行った時には
その和やかな空気の中で、実に居心地悪そうにしている様子が印象的でした。
エリザベスに誘惑されるポール役のサミュエル・L・ジャクソン、なんだか可愛かった。

そうそう、ケリーの店のケーキ。アメリカのケーキはデコレーションが派手というイメージがあったけど、
あの花柄は、アメリカ製のガウンについてるアップリケみたいで、キュート♪

テアトル梅田にて鑑賞。