公式サイト:http://www.cl-hotel.com/
監督:ダン・アイアランド
原作:エリザベス・テイラー
脚本:ルース・サックス
製作:リー・カプリン、ザカリー・マッツ、カール・ジャン=コルパート
(2005年 アメリカ/イギリス)
原題:MRS. PALFREY AT THE CLAREMONT
※ネタバレ含みます。
【ストーリー】
ロンドンの街角にある長期滞在型のホテル「クレアモント」では、
人生の終着点に近づいた人たちが暮らしていた。
それぞれに孤独ながらも遊び心を忘れない滞在客たちの一人、
パルフリー夫人(ジョーン・プロウライト)は、ある日、
小説家志望の青年ルード(ルパート・フレンド)に孫のふりをしてほしいと頼む。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)
パルフリー夫人「料理が自慢のホテルらしいわ」
タクシー運転手「料理が自慢? この英国で?」
広告に惹かれてやってきたクレアモントホテル、実はビジネスホテルに毛の生えた程度のホテルでした。
クロコの高級そうなバッグを持ちいかにも裕福そうなパルフリー夫人には、場違いな場所なのです。
「初対面は見た目が大事」という祖母の言葉どおり、ドレスアップして夕食へ向かう夫人ですが、
ダイニングルームの殺風景な様子にまたまた“Oh dear!”
しかし、知的で上品な夫人は回りの人とフレンドリーに接していきます。
ロンドンに住む孫からの連絡を待ち続けるも、なしのつぶて。
落ち込む夫人に青年ルードとの素敵な出逢いが。この役のルパートが爽やかで好青年なこと!
「縞模様のパジャマの少年」でのナチ役を思い出すと、なんか裏があるんちゃうかなぁと
ついつい思ってしまいますが(笑)。
ヴィクトリア女王の夫アルバート役はいい人やったけど、正直印象薄かったもんねぇ。
今回は、良かった〜、特にエプロン姿が素敵です♪
ホテルにやってきたハンサムなルードに色めき立つ皆の様子が面白い。
露骨には態度に出さない(いかにも英国的)人達までも、実は興味津々なのがわかります。
ホテルに滞在する人達は、どこかユーモラスで憎めないんですよね。
ドアマン兼ポーターのあの息遣い、ゼーゼー言いながら意味不明な言葉を発してる様子は笑ってしまいます。
狭いエレベーターの中で「これ持って」とパルフリー夫人に鞄を渡す様子も可笑い。
俳優陣の巧みな演技が楽しめるのは、舞台俳優の層が厚いイギリスならでは♪
イギリス人俳優をTVドラマで見つけようシリーズ(?)、今回も発見しましたよ。
このホテルのヌシ的存在、ちょっとシニカルなアーバスノット夫人役のアンナ・マッセイは、
モース警部シリーズ第22話「ハッピー・ファミリー」の出演が記憶に残っています。
パルフリー夫人に“少佐”と呼ばれてたオズボーン氏役のロバート・ラングは、
ジョーン・ヒクソン版ミス・マープル「牧師館の殺人」のプロズロウ大佐役でした。
ラング氏は本作の完成2週間前に亡くなられたそうです。合掌。
ルードの恋人グゥエンドリン役ゾーイ・タッパーが、ジェラルディン・マクイーワン版
ミス・マープル「ゼロ時間へ」のケイ役だったのは、公式サイトを見るまで思い出さなかったです。
このドラマはやたら登場人物多いし、彼女ちょっと印象薄かったかも。
ウィリアム・ブレイクやワーズワースといった英国を代表する詩人の作品や、
イギリス映画「逢びき」がキーワードにもなっています。
ところで「逢びき」って、カンヌ国際映画祭グランプリ受賞してるんですね。
しかも、デヴィッド・リーン監督やったんやぁ。へぇ〜。
BSで放送してたのを2度程見ましたが、個人的にはちょっとメロドラマ度高すぎかな。
私自身、もしも未亡人になったら強く一人で生きていけるかなぁとかなり不安。
と、こんな風に言ってる人にかぎってその後の人生を楽しめる気もチラッとしますが。
日本には、格安の長期滞在型ホテルってあるんでしょうか。
老後の生活と心構え等について、思いをめぐらせてしまいます。
原作の著者エリザベス・テイラー、この方について詳しく知りたくてもあまり情報が上がってこないです。
クレアモントホテル (集英社文庫) (2010/10/20) エリザベス・テイラー 商品詳細を見る |
英国人作家で、すでに亡くなってるという事くらいしかわからない。
日本では、あまり知名度は高くない方なんでしょうね。
ちなみにオゾン監督「エンジェル」の原作もエリザベス・テイラー。
こちらは女性作家が主人公やし、「クレアモントホテル」でも作家が重要な登場人物ですね。
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短編もいくつか翻訳されているようです。
「蠅取紙」が収録されています。今日さっそく読んでみましたが、なんだか怖〜いお話。
20世紀イギリス短篇選 (下) (岩波文庫) (1987/11/16) 小野寺 健 商品詳細を見る |
「プア・ガール」が収録。復刊ドットコムで見かけたので、絶版なのかな?
恐怖の1ダース (1980年) (講談社文庫) (1980/08) 中田 耕治 商品詳細を見る |
「ミスタ・ウォートン」が収録。MARUZEN&ジュンク堂書店(梅田)では扱ってないようでした。
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あと、角川文庫(1973年)から出た『ニューヨーカー短編集』に「生涯のはじめての死」という
短編が収録されているようですが、こちらは絶版なのかアマゾンでは取り扱っていません。
梅田ガーデンシネマにて鑑賞。
来週の土曜日はこちらで“Ricky”を観る予定。