公式サイト:http://www.a-christmas-story.jp/
監督・脚本: アルノー・デプレシャン
製作: パスカル・コーシュトゥー
脚本: エマニュエル・ブルデュー
撮影: エリック・ゴーティエ
美術: ダン・ベヴァン
衣装: ナタリー・ラウール
編集: ロランス・ブリオー
音楽: グレゴワール・エッツェル
(2008年 フランス)
原題:UN CONTE DE NOEL
※ネタバレ含みます。
【ストーリー】
とあるクリスマス。ヴュイヤール家では、母ジュノン(カトリーヌ・ドヌーヴ)の病気をきっかけに、
長女エリザベート(アンヌ・コンシニ)、三男イヴァン(メルヴィル・プポー)ら、
子どもたちが集まっていた。しかし、絶縁されていた次男アンリ(マチュー・アマルリック)の登場で、
穏やかなクリスマスに波風が立ち始める。(シネマトゥデイより転記させていただきました)
まずカトリーヌ・ドヌーヴ。デプレシャン監督が言う「エレガントなごう慢さ」で堂々たるママン役でした。
息子に対し「私もずっと嫌い」なんて言っても許せるキャラクターなんですよね。
そして、そのダメ息子アンリがマチュー・アマルリック。私、この人の目元が苦手です。
マチュー・アマルリックとエマニュエル・ドゥヴォスが嫌いな私にとって、デプレシャン作品は
マイナス値からのスタートといった感じでしょうか。
ところが、マチュー演じる次男アンリは、結構嫌いじゃない人物像でした。
また、今まで生理的に受け付けなかったエマニュエル・ドゥヴォス演じるアンリの恋人フォニア、
登場人物の中で一番好きになりました。
物事に動じずさっぱりとしたキャラクターで、彼女のふてぶてしい雰囲気にマッチしてて、いい感じ。
フォニアは「アンジェラ・バセットのお尻みたい」と回りから二回も言われるわりには
彼女のお尻のショットのないところが、なんだか良いですね。
けど、なんでアメリカ人女優の名前が例に出て来るのか?
単にデプレシャンがその名前を出したかったのかな?!
それにしても豪華絢爛な俳優陣です。
母ジュノンやアンリ以外のヴュイヤール家の人々もめんどくさい人ばっかりで、
長女エリザベートはアンリを病的に嫌ってて精神的に病んでるし、
三男イヴァンは妻に依存している様にも見えるし、その妻シルヴィア(キアラ・マストロヤンニ)は
人の言葉に影響されやすいのか、話の展開に少々ついていけないキャラクターですが、
綺麗に撮ってもらってるなぁと感じました。
そうそう、父アベル(ジャン=ポール・ルション)と、イヴァンの息子達バジルとバチストは
愛らしい存在でした。この3人を見ていると和むわ〜。
全体的に、映像と音楽の切り替えがなんだか唐突に感じられる箇所が多かったかなぁ。
ファンタジックな映像やなぁと思ってると、妙にリアルな骨髄移植の場面が出てきたり、
2時間30分の間、結構あっちこっちに話が飛ぶので気を抜いて見てはいられません。
エリザベートは強迫神経症のような見ていてイラッとさせられるキャラクターでしたが、
ラストシーンでは一変して美しい笑顔を見せてくれるし。だからこそ、人間を通り一遍には
語れないと思うんですけどね。この混沌とした世界を楽しもう。
映画の中のように、クリスマスには家でくつろいで映画を見るという過ごし方、私も結構好きです。
「素晴らしき哉、人生!」や「34丁目の奇跡」「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」等、
クリスマスにちなんだ映画なら余計にいいですねぇ。
ところで、劇中の映画「パリの恋人」と「十戒」以外の白黒映画(ポールが見ていた)は
何だったんでしょうか?一瞬、ジャン・コクトーの「美女と野獣」のようにも見えたんですが、
はっきりしないです。
あと、ジュノンが持っていた「エマーン日記」という本、調べても該当する物が日本には無いようです。
こういう些細な疑問が結構気になります。すぐ忘れるけど、ハハハッ。
父アベルがエリザベートに読み聞かせる言葉
「我々にとって我々は未知だ(我々は我々に知られていない)」
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そんなニーチェの言葉よりもむしろ母ジュノンが、自分を持て余していた思春期のイヴァンに
言った「今の時期を懐かしむの」という言葉に、なるほどぉ〜と妙に感心してしまいました。
梅田ガーデンシネマにて鑑賞