ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ブロンド少女は過激に美しく 〜オリヴェイラの映画は子守唄か?〜

SINGULARIDADES

公式サイト

監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
製作:フランソワ・ダルテマール、マリア・ジョアオン・マイエ、ルイス・ミニャーロ
製作総指揮:ジャック・アレックス
原作:エッサ・デ・ケイロス
脚本:マノエル・デ・オリヴェイラ
撮影:サビーヌ・ランスラン
(2009年 ポルトガル/スペイン/フランス)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
リスボン発、南の保養地アルガルヴ方面への長距離列車。
“妻にも友にも言えないような話は、見知らぬ人に話すべし・・・”
見知らぬ婦人と隣あわせたマカリオは、自分に起きた衝撃的な事件を語る。
(公式サイトより転記させていただきました)

またやってしまいました。鑑賞中の何分かの記憶がない〜

そんなに本数を見たわけではないんですがオリヴェイラ作品を鑑賞している時って、
中盤にさしかかったあたりで心地よい眠りに誘われウトウトしてしまう確立、高いです。

・最初の列車内のシーンの映像からして、構図のバランスが良いのか妙な安心感がある
・車掌が客一人一人の切符を切っていくという、ただそれだけのシーンが続く
・その後登場した主人公と隣の居合わせた婦人のセリフにも、独特な“間”がある
これ、たたみかけるようなセリフの応酬が特徴的なある種のフランス映画と
すごい対照的ですね。
とはいえ、ここらへんではまだ眠くはなかったんですが、オリヴェイラ作品でよく見られる、
時折はさまれる風景映像、温かみを感じるリスボンの夕景についウトウト。

エッサ・デ・ケイロス(1845年〜1900年・ポルトガル)の短編「ある金髪女の奇行」が原作。
劇中では、ポルトガルの作家フェルナンド・ペソア(1888年〜1935年)の詩も朗誦されます。
↑このあたり、頭がモヤァ〜っとした状態だったので、もう一度ちゃんと観たい気がします。

ペソアの詩「羊の番人」が思いだされるようなストーリー展開で、
“他人気持ちをあれこれ慮るよりも、今あるこの世界の美しさを享受すればいい”といった
感じに私には思えました。面白いですねぇ。

「見たままが彼女の全てじゃない」というのは、女性全般に言える事やと思うんですが、
逆にルイサと結婚しようと必死になって、ベソをかいてるマカリオが滑稽やわ〜♪
「世の中って予測のつかない事だらけよん」という事やとも受け取れます。

いつも思うけど、余韻の残る最後です。列車が走っていく映像をいつまでも見ていたいような。

十三第七藝術劇場にて鑑賞。
併映作品は、ゴダールの短編「シャルロットとジュール」(1958年 フランス)