ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

隠された日記 母たち、娘たち

diary

公式サイト音が出ます!

監督・脚色・台詞:ジュリー・ロペス=クルヴァル
脚本:ジュリー・ロペス=クルヴァル、ソフィー・ハイエ
撮影:フィリップ・ギルヴァル
編集:アンヌ・ヴェイユ
録音:フランソワ・ギヨーム、シルヴァン・ベルマール、ベルナール・ガリエピ・ストロブル
記録:キャロル・コルンマン
配役:ナタニエル・エステル
演出:エリック・グランジャン
衣装:ドロテ・ギロー
美術:フィリップ・ヴァン・エルウィネン
音楽:オリヴィエ・シロワ
プロデューサー:アラン・ベンギーギ、トーマス・ヴェルアーゲ
共同プロデューサー:フランソワ・ランドリー
原題:Mères et Filles
(2009年 フランス、カナダ)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
カナダで働くオドレイ(マリナ・ハンズ)は、久々に両親の住むフランスの海辺の街に帰って来る。
医師の母(カトリーヌ・ドヌーヴ)とは昔からそりが合わず、
再会しても二人の間にはどこかぎすぎすした空気が漂っていた。
結局オドレイは仕事を理由に実家ではなく、亡くなった祖父が生前住んでいた
海辺にただずむ家で休暇を過ごすことにする。(シネマトゥデイより転記させていただきました)


プラットホームを歩くオドレイの表情は冴えません。迎えに来ていた父親に声をかけられ笑顔を見せますが、
彼女の様子が気にかかるオープニングです。

年を重ねてもスリムな体系を保っている女優さんが多い中、押し出しの良さという点で
10年位前から私の頭に浮かぶようになったカトリーヌ・ドヌーヴ
なんだかますます腰周りがふくよかになられた気がします。。。。それはさておき、
彼女の演じる母親マルティーヌは、久しぶりに実家に帰って来たオドレイに対しても
何かトゲトゲしい態度で、全く好感が持てない存在です。

そんな中、亡くなった祖父の家で過ごすことになるオドレイがその家で発見するのが祖母の日記。
子供達を残して祖母は何故家出したのか?
この日記を読みすすめていくうちに祖母ルイ(マリ=ジョゼ・クローズ)に
共感し心寄り添わせていくオドレイですが、その気持ちは見ているこちら側も同じでした。
好奇心旺盛で生きる意欲に満ちたルイの姿は美しく、いつの間にか惹かれていたんですね。

フランスの田舎町とはいえ1950年代の女性はあんなにも不自由だったんでしょうか。
とはいえ、自分の従属的な存在として妻を扱うあの夫はやっぱりおかしい!
母親に捨てられたというトラウマを抱えているとしても、祖母の話題を避ける
マルティーヌの様子にも、なんだかただならないものがあるし。
そう感じていたので、ラスト近くの話の展開はそう意外なものではありませんでした。

オドレイ役のマリナ・ハンズは、エラの張った輪郭と知性的な目元のせいか、
何か静かな意思の強さのようなものを感じさせます。繊細な演技がとても素敵。
(「レディ・チャタレー」の役のイメージが頭に残ってるのかもしれませんが)。
印象的だったのは、そんな彼女が母親を喜ばせたいと贈り物に迷うシーン。なんだかとても可愛いかった。
同じ角張った顔でもエマニュエル・ドゥヴォスなんかはどうしても好きになれないのに、
この女優さんはなんか好きやなぁ。

海辺の家と周辺の風景がいかにも地方都市といった風情なのが、なんだかのんびりした雰囲気で良いです。
(うわさ話がすぐに広まる田舎特有の雰囲気は苦手やけど)
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舞台となった“アルカション”という町は、フランス・ランド地方のリゾート地。
昔から牡蠣の産地で有名らしく、またボルドーに近いのでワインも充実してそうです。

来週公開のデプレシャン監督「クリスマス・ストーリー」やオゾン監督の新作「しあわせの雨傘」にも
主演しているカトリーヌ・ドヌーヴ。こちらの映画も楽しみです。

テアトル梅田にて鑑賞。