ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

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ブラジル映画祭2010 その3「魔法じかけの言葉」

ブラジル映画祭2010公式サイト

Palavra

「魔法じかけの言葉」Mutum
84 min./2008年/ドキュメンタリー
監督:エレナ・ソルベルグ
脚本:ディアナ・ヴァスコンセロス、エレナ・ソルベルグ、マルシオ・デベリアン
出演:アドリアーナ・カルカニョット、アルナルド・アントゥーネス、シコ・ ブアルキ、
    レニーニ、マリア・ベターニア、トン・ゼー、ゼリア・ドゥンカン他

【あらすじ】
ブラジル音楽の歴史を詩と音楽という視点から紐解くドキュメンタリー。
ポルトガル詩人の作品からラップ歌手の言葉、カーニヴァルやファヴェーラで生まれた歌詞から
ボサノヴァの名曲まで、シコ・ブアルキ、アドリアーナ・カ ルカニョット、
アルナルド・アントゥーネスといった著名アーティストたちがポルトガル語の優美な響きと
メロディーにのせて奥深いブラジル音楽の世界へと誘う。
(チラシより抜粋させていただきました)

濃くて深い作品。1回見ただけではなかなか理解したとは言いがたい。
それでも古学からラップまで、ブラジルの音楽と詩の役割を少し感じることができた気がしました。
五線譜が踊りだすようなオープニングが素敵。

話は11〜12世紀の南仏の吟遊詩人から始まって。。。。正直、全く知らない世界なんですけど
漠然としたイメージはE.ロメール「我が至上の愛〜アストレとセラドン」かなぁと思ってたら、
こちらは5世紀が舞台のお話だったんですね。この映画の原作は17世紀に書かれたもののようですが、
一つ一つのセリフがまるで詩のようだったので、頭に思い浮かんだのかもしれません。

一口に吟遊詩人と言っても、最下級の身分の人から王侯まで様々ならしいのですが
元々は騎士階級を出自としているので、「我が至上の愛〜」原作にある「アストレは
羊飼いでありながらも最高級の宮廷人のように話す」という内容からして、
あながちイメージ的には間違ってなかったのかなぁ、と自分の都合のいいように解釈しています。

吟遊詩人として作品中で名前のあがっていたアルナウト・ダニエルについて調べてみましたが、
オック語による押韻の技巧を凝らした詩で知られる」とありました。
やっぱり、詩というのは言葉の響きだけでなく理解してこその楽しみもあるんやろなぁと
ちょっとせつない気もしましたが、今現在ポルトガル語が理解できなくても、
美しい詞だなぁと感じる事があるし、その響きを楽しむというのもありかなぁと思います。

ここまで書いて、息切れしてしまいました。
映画の内容が多岐にわたり専門的に感じられる部分も多かったので、
なかなか書くのも難しいですね。

詩における言葉の響きや含まれる意味合い等を、ブラジルの人は本当に愛してるんやなぁと。
個人的にはサンバとボサノヴァのパート、そしてレニーニの弾き語りには食いついてしまいました。
あの独特の早口な歌とギターは圧巻! 世界にはまだまだ素晴らしい音楽がありそう♪

シネ・ヌーヴォにて鑑賞