ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

シングルマン

a single man

公式サイト音が出ます!

監督・脚本・製作:トム・フォード
原作:クリストファー・イシャーウッド
脚本:デヴィッド・スケアス
製作:クリス・ワイツ / アンドリュー・ミアノ / ロバート・サレルノ
撮影:エドゥアルド・グラウ
音楽:アベエル・コジェニオウスキ
追加音楽:梅林茂
(2009年 アメリカ)
原題:A SINGLE MAN

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
1962年11月30日。8か月前に愛する人を失ったジョージ(コリン・ファース)は、
この日で人生を終わらせようと、死の準備を着々と整えていた。
ところが大学での講義は熱を帯び、いつもならうっとうしい隣の少女との会話に喜びを抱く。
そして遺書を書き上げたジョージに、かつての恋人チャーリー(ジュリアン・ムーア)から
電話が入り…。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

ファッションデザイナー、トム・フォードが描くスタイリッシュで上品な世界。

こちらは、同じ日に見たアベル&ゴードンの作品となんだか対照的。
枠からはみ出す事はなく新しい驚きはないけれど、シンプルでキレイで上質な印象。
アクションよりも心情が中心の描き方。乾いたタッチは好みでした。

ロンドン出身のインテリジェントな紳士を演じるコリン・ファース、彼が良いですね〜。

ジョージの元恋人チャーリー役はジュリアン・ムーアですが、1960年代のメイクアップと
ファッションで、すごくゴージャス。華やかでありながらも、不安を抱えながら生きる彼女の
ちょっと哀しくて痛々しい感じがすごく出てました。
チャーリーは、何かよどみがちな話の中で一種の息抜き的存在にもなっていて。

ジョージとチャーリーは、お互い求めるものにズレがあるにもかかわらず、
何かその関係には惹かれるものがあります。

ジョージを慕うケニーを演じるニコラス・ホルトは、透明感にあふれていて
こちらをちょっと戸惑わせるような、まっすぐな目線が眩しい。

登場人物の描写が良いんですよね。人物像がつかみやすいというか。
マシュー・グードも含め、キャスティングもすごく良くて、この映画は。
主要キャストがイギリス人俳優というのも、個人的に非常に好ましいんですが。

そうそう、隣人のいかにもおしゃべりな主婦役は「そんな彼なら捨てちゃえば?」の
ジニファー・グッドウィンで、これも彼女にめちゃくちゃはまってて可笑しかった。
ゲイのスペイン人も印象的。ラテン系青年はフェロモンふりまいてましたね〜。

先日観た「メッセージ」に引き続き、“今を生きる”事と“死”について想いをめぐらせる
そんな作品です。ほろ苦いラストも、スッキリといい感じ。
優れたファッション・デザイナーだけあって、“美しい”という事にこだわりがある監督やなぁと
感じたんですが、これってこじつけでしょうか?! どこまでもファッショナブルやなぁという印象。

梅田ブルク7にて鑑賞。