ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

カラフル

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公式サイト

監督:原恵一
原作:森絵都
脚本:丸尾みほ
(2010年 日本)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
突然現れて当選を告げる天使の計らいで、死んだはずの“ぼく”の魂は、
自殺してしまった少年・真の体に“ホームステイ”をすることに。
現世に戻る再挑戦のため、真としての生活を始めた“ぼく”は、
やがて真が自ら死を選んだ理由を知る。
そんな中、“ぼく”は現世に戻る再挑戦をすることの
本当の意味を考え始めるが…。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「明日があるって、いいもんですね」

原恵一監督の「河童のクゥと夏休み」に感動したのは2007年の夏だったんですね。
あれから3年、今回もまた気持ちよく泣きました。

カラフル (文春文庫)カラフル (文春文庫)
(2007/09/04)
森 絵都

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原作は、↑直木賞作家森絵都さんの「カラフル」
ジャージャービンクスさんに昨年情報をいただいてから、楽しみにしておりました。

原作はまだ読んでいないのですが、この物語はアニメーションという手法を用いた事で
優れたファンタジーに仕上がっていると思います。実写でなくてよかった。

ファンタジーとは言いましたが、それらしいアニメの表現はほとんどありせん。
話の中心となっているのは中学生“まこと”の日常生活、家族や友人との人間関係で、
この年頃ってこんな些細な事を気にしてたよなぁ、等と気恥ずかしいような
微笑ましいような気持ちで見守っていました。

例えば、海の中を泳ぐ馬と馬が見上げる日の光だとか、あの世の入り口と下界との劇的な変化等、
こういったアニメーションならではの表現が生きている一方で、
かつて砧(きぬた)線を走っていた電車のアニメーション等は実写のようにリアルでした。
(やっぱりそこらへんは作り手にこだわりがあるのかもしれませんね)

主人公“ぼく”は、私から見ると人に厳しく自分に甘いイヤ〜なヤツなんですけどね。
単に“まこと”にホームステイしてる“ぼく”が、なんで母親にあそこまで厳しいかなぁ?と
少々疑問ではありましたが、うんなるほどそれならわかると、最後の方でやっと
合点がいった私はかなり鈍いですねぇ。
それでも、ひろかの援助交際には結構寛大でしたよね。所詮彼女は他人とはいえ。

“まこと”の家族は、一生懸命“家族”をやろうと演じているようなところがあって、
彼もそこから一種の嫌悪感のようなものを感じていたのかもしれませんが、
その気持ちを受け止められるようになる事が、人間としての成長といえるのかもしれません。

しょっぱなから一番笑えるというか可愛かったのが、佐野さん。
最後の単語を二回繰り返す、あの独特な喋り方。宮崎あおいさんが声を演じているのは
全く気が付きませんでした。佐野さんと早乙女くんにもう一度会いに行きたいくらいです。

“カラフル”といった言葉からは「明るくビビッドな色の集合体」といった印象があった私ですが、
なるほどよく考えると“色”には黒や灰色や群青色や黄土色もあるわけで、
ここでも先入観といったものの怖さをふと感じましたね。

やっぱり大切なのは、人と人との関係ですよね。一人では決して生きていけないから。
それにしても早乙女くんのキャラ、いいわぁ。二子玉川周辺を散策してみたい気持ちにもなります。
ニコタマって大阪在住の私には、なんか憧れの地ですわぁ。

TOHOシネマズ梅田にて鑑賞