ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

闇の列車、光の旅

yamino

公式サイト音が出ます!

監督・脚本:ケイリー・ジョージ・フクナガ
製作総指揮:ヘラルド・バレラ、パブロ・クルス、ディエゴ・ルナガエル・ガルシア・ベルナル
音楽:マルセロ・サルボス
撮影監督:アドリアーノ・ゴールドマン
原題:SIN NOMBRE
(2009年 アメリカ/メキシコ)

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
サイラ(パウリナ・ガイタン)は、父と叔父とともにホンジュラスを出て自由の国アメリカを目指す。
3人はどうにかメキシコまでたどり着き、米国行きの列車の屋根に乗り込むことができる。
ほっとしたのもつかの間、ギャング一味のカスペル(エドガール・フローレス)らが、
移民たちから金品を巻き上げるために列車に乗り込んで来て……。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「あ〜もぉ、このバカ女たちめっ!」
映画を見ながら私の頭をよぎったのは、こんな品位のない言葉でした。

サイラがあっさり父親と離れ、ウィリーの後を追ったのにはちょっとビックリしました。
うん、これはウィリーが「何もわかってない」と言いたくなるのに大いに共感。
まぁ、それがないと物語的に二人一緒の展開とはならないけど。
サイラは百歩譲ってまぁいいとしても、マルタがノコノコ墓場に現れたのはわざとらしすぎる。
そんなアホな女おらんやろぉ〜 女をなめたらいかんぜよっ!と言いたくなりました、ハイ。

少し前の時代のアメリカ映画には、この手の足を引っ張る“女性”が登場した気がしますが、
結局女性は強いですよね、生命力が違うのか。
そういえば、NHKの「クールジャパン」というTV番組で草食系男子を取り上げていた時、
草食系の男子に一番嫌悪感を表していたのは“セニュリータ”達でした。
中米・南米やアメリカではいまだにマッチョ信仰は続いてるのかも、と思うのは考えすぎかな。

メキシコ国境を越えてアメリカに行こうとするのは、メキシコ人だけではないわけで。
サイラの場合、祖国ホンジュラスからジャングルを歩きガテマラに入り、
さらに船でメキシコに向かってました。メキシコからは列車ですが、
この列車の旅もなかなか過酷そうです。実際、移民達は強盗にあったりけがをしたり、
吹きさらしの雨や寒さからも身を守らなければならないようで、まさに“命がけ”の旅です。
さらには、警察の目も常に気にして見張っていなければならないのですが、
お父さん!まさかあわててあんな風に落ちるとは。。。。

映画に出てきたギャングMS-13は、実際に存在する組織のようですね。
中央アメリカのみならず、アメリカや欧米でも活動している大規模な組織らしいです。
冗談?と思うような、あの顔にいれた“MS”のタトゥーの画像もググると出てきます。
元々は貧困が原因なんでしょうが、あまりにも過激な彼らの行動。
組織という形態をとる事で、人間の残忍な部分があそこまでつきつめられてしまうのかと思い、
恐ろしくなります。

そんな中、同じようにアメリカを目指す人達同士、協力しあったりする様子には
少しホッとさせられました。
ラストはなんだか良かったなぁ。がんばれサイラ!なんて気持ちになって。

ところで、あのデジカメは映画の前半でウィリーが線路に落としませんでしたっけ?
思い違いかなぁ。あとでまた出てきたからあれれ?と思いました。
それとも、落としたのは携帯電話やったのか?!

シネリーブル梅田にて鑑賞。