ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ボローニャの夕暮れ

GIOVANNA

公式サイト

監督・脚本・原案:プピ・アヴァティ
製作・脚本:アントニオ・アヴァティ
撮影監督:パスクァーレ・ラキーニ
編集:アメデオ・サルファ
音楽:リズ・オルトラーニ
美術:ジュリアーノ・パンヌティ
衣装:マリオ・カルリーニ、フランチェスコ・クリヴェッリーニ
録音:ピエロ・パリージ
原題:IL PAPA DI GIOVANNA
(2008年 イタリア)104分

※ネタバレ含みます。

【ストーリー】
第2次世界大戦前夜のボローニャ、美術教師のミケーレ(シルヴィオ・オルランド)は
美しい妻のデリア(フランチェスカ・ネリ)、17歳の娘ジョヴァンナ(アルバ・ロルヴァケル)と
つつましく幸せに暮らしていた。そんなある日、ミケーレの勤める学校で女子生徒が殺害され…。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

イタリア映画らしい、どこかコミカルなテーマ曲。小津安二郎の映画でも耳にするような。
そんな明るくて、耳に残るメロディとともに始まった映画ですが、
意外にも複雑で深くてシビアな問題を含んだ、重い作品でした。

なんかねー、ジョヴァンナのパパとジョヴァンナの会話がおかしいもんなぁー始めから。

ジョヴァンナを演じたアルバ・ロルヴァケルの演技が素晴らしいですね。
なんかウジウジしてて引っ込み思案なくせに、大胆で妙にあつかましいという
どこか狂気を帯びた少女がそこにいるんですよー。静かな怖さがありました。
学校にいたら決してお近づきにはなりたくないタイプです、正直。

そして彼女と対照的な美しい母デリア、いきなり隣人の警察官セルジョと視線からめあってますもん。
デリアの美しさや艶やかさはこの家庭にはそぐわない、そんな独特のオーラを放っていました。
それにしても、彼女はちょっと冷淡すぎる気がしました。ジョヴァンナの事もそうですし、
セルジョが銃殺されるという場面でも、多少慌てた様子しか伺えませんでした。

そもそも両親の間に存在しないもの、そして自分が母に求めていたもの
その欠如がジョヴァンナの精神を蝕んでいったんでしょうか。
父ミケーレも、妻デリアに求めて最後まで得られたなかった“愛”。
その分、娘に過多とも思える愛情を注いでいたのかもしれません。

映画の中で起こった殺人事件だけを考えると、もっともっと悲惨で救いようの無い物語の
展開があってもおかしくないのに、希望の物語となっているところがこの映画のいいところですね。
ジョヴァンナがなんで治ったのかは、今ひとつ理解できない私ではありますが。。。。

食事にはやっぱりパスタとワインがよく出てきて、庶民の生活の雰囲気が少しだけ味わえます。
それから、時代を感じさせるようなちょっと色あせたカラーが素敵な映像でした。

テアトル梅田にて鑑賞。