ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

春との旅

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公式サイト音が出ます!

監督・原作・脚本:小林政広
エグゼクティブプロデューサー:與田尚志
プロデューサー:紀伊宗之/小林直子
撮影監督:高間賢治/JSC
照明:上保正道
美術:山崎輝
録音:福田伸
編集:金子尚樹
装飾:鈴木隆之
衣装:宮本まさ江
音楽:佐久間順平

【ストーリー】
足の不自由な元漁師の忠男(仲代達矢)と仕事を失った18歳の孫娘・春(徳永えり)は、
忠男の生活の面倒を見てもらおうと疎遠だった親類縁者を訪ね歩く旅に出る。
親族との気まずい再会を経るうちに、忠男はこれまで避けてきた過去と向き合わざるを得なくなる。
そんな祖父の葛藤(かっとう)を間近に見ていた春にも、ある感情が芽生えていく。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

※ネタバレ含みます。

俳優陣の豪華さに惹かれて映画館に足を運びましたが、その点ではある程度楽しめました。
いわゆるチョイ役扱いの小林薫さんがすごく良かったなぁ。あれだけのシーンで存在感ありすぎ!

小林さんを初めて意識したのはかなり前のNHKの時代劇だったんですが、その頃から性格俳優というか、
ユニークな人やなぁと思っています。その後映画『風の歌を聴け』等にも出演されたりして、
なんか親近感を感じてしまうんですよね。ときおり出てくる京都ことばのせいかもしれません。
そういえば、浅野忠信さんも初めて意識したのがNHKの時代劇でなんか面白い人やなぁと思いました。

映画の話題に戻りますが、ああゆう見づらい形でクレジットを表示する意味は何かあったんでしょうか。
この映画、見にこられている方々の年齢層はかなり高めです。
ブラックの背景にブルーの文字がはっきりしない上に、上下左右に点滅するのは、
あまり好ましくない気がしました。クレジットの出し方、もっとノーマルでいいと思います。

あと、音楽が、映画の内容そのものより少しでも前に出すぎると、気になってしまうんですよね。
個人的な好みでは、「ウーウウー♪」というバックに流れる女性コーラスがちょっと苦手。
できれば、もっと静寂さを感じるようなシーンが欲しかったかも。

それでも、仙台のシーンあたりまでは結構いい感じでした。
春の祖父に対する態度もだんだん強気になってきて「お酒はダメ」なんてきっぱり言うシーンは
気持ちよかったし。徳永えりさんのあのガニ股歩き、板についてましたね。

祖父忠男の人間像は、結構一貫しているものがあると思いました。冒頭から、何をそんなに
いきり立ってるの?と思わせるような子供っぽさ。あまり広い視野に立って物が見えていない、
ちょっと独りよがりな感じです。女性にとっては好ましくない男性かもしれません。
魅力的かどうかは別として。可愛いらしいところもありますからね。

出来の悪い弟の事を「あいつはいいヤツだ」なんていう祖父に、何か違うかもと感じる春。
田中裕子さん演じる清水さん(弟の内縁の妻)を振り返る姿からは、そんな気持ちを
感じ取ることができました。

淡島千影さん演じる姉、茂子の言葉「辛いから、生きていかれる」がちょっとひっかかったんで、
家に帰って反芻してました。
やっぱり辛いのはいやなんですけどね、私。キツイのは自分の勉強と思って耐えられるけど、
辛い思いはできるだけしたくないというのが本音。要は、たとえ辛い状況にあっても
それを前向きにとらえる事ができるかどうかという事なのかなぁと思ったりします。

長男である大滝秀治さんの家を訪ねたシーン。ずっと外から家の中を撮る方法は良かったかも。
お互いの距離が決して縮まらないという感じが、窓越しに見るというところに現れていた気がします。
父親の牧場で馬の親子が仲睦まじくしている様子が映し出された後、春親子の緊張のシーンという
演出も割りと好きです。

柄本明さんも相変わらずイヤらしい感じで良かったし(若い頃この人に萌えてた私って、今振り返ると
かなり変わった好みやなぁと思います)、香川照之さん見ていてやっぱり安心感ありますね。
今回の出演者の中で美保純さんだけはあんまりお芝居が上手いとは思えないです、すみません。

徳永えりさん、すごくナチュラルで良いのに、泣くシーンだけはちょっと。。。。
あまり大声でわめかれると、逆に醒めてしまうんですね。残念。
映画のラストシーンって、その作品全体の印象を大きく左右するかもしれませんね。
ありがちかもしれませんが、最後は静かなシーンにして欲しかったというのが私の願望です。

梅田ブルク7にて鑑賞。