ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

「砂の器」他 松本清張原作の作品 そして「アバター」

年末年始、WOWOWで放送されていた「松本清張生誕100周年特集」
録画しておいたものを、やっと全部見終わりましたぁ〜。
備忘録代わりに、ちょっとずつ感想をメモしておこうと思います。基本ネタバレしてます!

録画し忘れたものもあるので、今回私が見たのは次の8作品だけ。
砂の器」「影の車」「鬼畜」「疑惑」「ゼロの焦点」「霧の旗」「わるいやつら」「天城越え

砂の器」監督:野村芳太郎(1974年)

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(2009/09/26)
丹波哲郎加藤剛

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セリフ無しの親子巡礼の映像、これだけで多くの事が語られています。
特にラスト、加藤剛が「宿命」を演奏しながら回想するシーンは圧巻!です。
何の説明もなく、映像と音楽だけでここまで魅せる力があるんですね。
昔原作を読んだ時は、方言分布のエピソードに「へぇ〜」と思いました。

「影の車」監督:野村芳太郎(1970年)
松本清張という人の母親との関係が気になります。母親とその愛人、その愛人を憎む息子という設定は
天城越え」と共通している。岩下志麻の色っぽさにノックアウトされるのみ。この頃ほんとうに綺麗です。

「鬼畜」監督:野村芳太郎(1978年)
今回、途中でリタイヤしてしまいました。すごい映画やけど、見るとしんどくなります。
親を思ってのことか、現実を受け止めれられずにか、ラストで子供のとる態度がせつない。
緒形拳さんは毎回、役柄そのものに見えてしまいます。やっぱり上手い役者さんです。

「疑惑」監督:野村芳太郎(1982年)

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(2007/08/24)
桃井かおり岩下志麻

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岩下志麻との演技対決は、桃井かおりの圧勝!ですね。
個性があるのにいろんな役がやれる女優さんというのは、日本では稀な存在じゃないでしょうか。
岩下志麻さんは、いつも同じような演技に見えるところが惜しいです。
すっかり結末を忘れてたせいもありますが、最後までぐいぐい引き込まれました。
ちょっとだけ出てる真野響子さんが美しいわぁ。

ゼロの焦点」監督:野村芳太郎(1961年)
これ以後に見た4作品は、全て初見です。
初めて見る新鮮さに加え、モノクロの映像が生み出す独特な寂しい映像はお気に入り。
じっくり見る楽しさはありましたが、どうも犯人を導き出す方法にムリがある気がして。
久我美子さんが上品。この頃の俳優さんは趣のある演技をされますね。

「霧の旗」監督:山田洋次(1965年)

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(2009/09/26)
倍賞千恵子金子信雄

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今回見た8作品では、一番後味の悪い映画。(^-^;A よくできてるけど〜。
倍賞千恵子さんがそんなに綺麗でも派手でもないだけに、妙にリアル。
気が強くて頑なな、煮ても焼いても食えないタイプ。あー恐ろしい。
どう考えても逆恨みとしか思えない。裁判にお金がかかる社会が問題やのにね。
しかも、真犯人の追求をしないなんて!それでいいのか? ちょっとモヤモヤするんですけどっ。
こういう(犯人が明かされない)展開って、めずらしいですね。
映画の登場人物に同情したのは、久しぶりかも。
主人公の兄役が露口茂さんというのは、気が付かなかった。お年をめしてからの方がだんぜん素敵ですね。

「わるいやつら」監督:野村芳太郎(1980年)
なかなか安っぽい感じが(ファッションショウシーンの演出とか)時代を感じさせます。
結構ムリのあるストーリー展開が気になりつつも、女優陣が魅力的。
個人的には、ジェラルディン・チャップリンに口元がそっくだと思う藤真利子さんが
好きですねー。日本の女優さんの中で“キュート”と思う数少ない内のお一人です。
日活ロマンポルノ出身の宮下順子さんの色気は尋常じゃないし、
松坂慶子さんは、一番美しさが花開いてる時じゃないでしょうか。
梶芽衣子さんは、したたかな女将役にはまってはりましたね。
仲代達也の秘蔵っ子と言われてたフルート奏者でもある神崎愛さんも少しだけ出演されてます。
それと、片岡孝夫さんが時々しゃべる上方言葉が、いかにも「ぼん」な感じでよろしおますなぁ。
で、結局誰が一番わるいやつなのかは人それぞれ感じ方が違うのかな。
この映画を見たあとで、友達とその辺を語り合うのも面白いですね。

天城越え」監督:三村晴彦(1983年)

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(2009/09/26)
渡瀬恒彦田中裕子

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田中裕子さんの魅力があふれてる〜。ほんとに素敵です。
それにしても、濡れ場が全体的にちょっと長い気がしましたが。
吉行和子さんのそういうシーンって、生々しいんですよねー。(^-^;A
最初に渡瀬恒彦さんが印刷所まで行く場面、妙に緊迫感があって。ここの演出は好きです。
建造が出会う人達、坂上二郎さんや柄本明さん。またその他の俳優さんがそれぞれみなさん
いい味だしてます。石橋蓮司さんと樹木希林の夫婦はコミカルで良かった。
田中裕子さんと伊藤洋一くんの道行きは、美しい映像として記憶に残ります。

WOWOWを見る楽しさはこういう事かな等と思います。こういうくくりで、一気にこれだけのDVDを
レンタルすることはありませんもんね。昨日もグラミーアワーズ授賞式見られたし、大満足です。


さて、「アバター」監督:ジェームズ・キャメロン(2009年)を観に行ったので短く感想を。
結論から言うと、私の好むセンスとあまりにもかけ離れてて上の空な感覚がつきまとってました。
(ラストにああいうタイプの音楽を持ってくるところも、やっぱりなぁと思ってしまう意地悪な私です)
たぶん私の好みが偏ってるので、あまりこのレビューは参考にはならないと前置きしておきたいと思います。

あのでっかいメガネを3時間近くもかけて見る必要性は? 3Dの必要性を全く感じないシーンまでも
強制的に3Dというのも居心地が悪い。できれば、2時間位にぎゅっと濃縮して欲しかった。
ティム・バートンの映画(アリス)だったらそれでもいいかなと思う私は、矛盾してるんですけどね。

確かに、森の中のシーンや、空を飛ぶシーンは爽快でした。魂の木から垂れ下がる紫の植物や
水の場面は綺麗だったし。ファイナルファンタジー10を初めてプレイした時の気持ち
(映像の美しさにおおっと感心した)とよく似ています。深い感動ではないんですね。
3D的楽しさを映画で味わえるというのは、新しい経験だし単純に楽しいです。
ただ、色々な設定(植生との魂の交流とか、眠っている間に別の空間で行動とか)は
他の映画で見た事あるアイデアだから新鮮味はありません。

ストーリーについては、ジェイクがナヴィ族に何故すんなり受け入れられたのかよくわからなかったし、
力には力で対抗するという構造は何も変わってないのかなぁと、ちょっとがっかりしてしまいました。
いかにもマッチョな大佐のキャラは、マンガ的で面白かったです。完全な悪者キャラです。

刺激やアトラクション的楽しさを求める方には、コストパフォーマンスが高い映画なのかも。
3Dも方式によって全く違うらしいんで、どーせ見るならIMAXが臨場感あっていいのかもしれませんね。

なんばTOHOにて鑑賞。