ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

パリ・オペラ座のすべて

監督: フレデリック・ワイズマン
(2009年 フランス)
上映時間:2時間40分

公式サイト:http://www.paris-opera.jp/

【この映画について】
300年以上にわたりフランス文化の中心とされてきたパリ・オペラ座の裏側に密着した
ドキュメンタリー。
17世紀、ルイ14世によって創設されたパリ・オペラ座バレエ団の現在の姿に、
アメリカを代表するドキュメンタリーの巨匠、フレデリック・ワイズマン監督がカメラを向ける。

エトワール達の美しい姿は今でも目に焼きついている。

今にも怪人が現れそうなパリ・オペラ座の内部。
魚まで泳ぎ、ファントムが潜む地下洞窟があってもおかしくない様な
このおどろおどろしい雰囲気、たまりませんなぁ。

今年5月に定年のためパリ・オペラ座を引退したマニュエル・ルグリの特集
(その際ルグリの「ドン・キホーテ」全幕も同時放送)を、
先日BShiで観たばかりだったので待ち遠しかったこの映画。

映画はバーレッスンのシーンから始まる。
モダンな振付のリハーサルシーンのすぐ後に、クラシックな演目(くるみ割り人形)の
リハーサル風景をもってくるところなどは、淡々とした映像の中でみているこちら側を
飽きさせないための配慮なのだろうか。

ベテランコーチ陣の間にも意見の相違はもちろんあって、
それぞれの好みと美意識をぶつけ合う様子は面白い。
バレエ教師「そう、そこは酔った感じで〜」
振付家「なんで酔わせる?」
バレエ教師「酔った感じがいいのよ」等、笑ってしまう。
ちなみに言い合ってるこの二人は夫婦です。(笑)

個人的に好きだったのは、「メディアの夢」と「ジェニュス」のダンス。
特に「ジェニュス」の男性のソロパートは、目が釘付けになった。
これは単に踊りだけではなく、照明や舞台映像等とも一体となった
タイプの演目の様です。

出演者が奇声を発するシーンが印象的な「ベルナルダの家」という演目は、
ちょい前衛的とうか演劇的でちょっとついていかれへんかったなー。
これが30年も前の作品という事にびっくり。

そういえば、週1回のコンテンポラリーのクラスは若いダンサーの出席率が悪いと
芸術監督のブリジット・ルフェーヴルが会議で言っていた。新しいダンスには
若いダンサーの方が積極的という印象がありがちやけど、そうでもないのねん。

オペラ座には様々な仕事があるわけで、その中でも私が一番やってみたいのは
やっぱり舞台衣装を作る仕事。キラキラのビーズやストーンをひとつひとつ衣装に
縫い付けて作り上げていく様子にニヤニヤしてしまう。
他にも、染色?か何かに勤しんでいる人も。やはりファブリックを扱う仕事には
興味がわく。ただ裏側はあくまでもサラッと映し出されているだけ。

「メディアの夢」主演のデルフィーヌ・ムッサンをはじめ、エトワール達が
自分の役をつかもうとしている姿はやはり感動的だ。
下世話な事を言うと、ストレッチしてるときのプリップリのおしりにもみとれる〜。

ブリジットからは、2007年に亡くなったモーリス・ベジャールの葬儀の様子も
少し語られていた。

テアトル梅田にて鑑賞。

そういえば少し前に西九条のシネ・ヌーヴォさんでワイズマン特集やってた様な気がする。
違ったかな?最近、映画館情報がかなり甘くなっている私です。