ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

地球のステージ ありがとうの物語

監督:佐藤威一郎
(2008年 日本)


【ストーリー】
山形県上山市の病院に勤務する精神科の桑山紀彦氏は、勤務医のかたわら、
東ティモールカンボジアパレスチナなど世界各国の紛争、貧困地域を訪れ、
NGOの一員として緊急援助活動などを行っていた。
桑山氏はクロアチアで心に深い傷を負った少女アリッサに会うことを夢見て、
長年の思いを実現させるため、クロアチアへと飛ぶ。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

素晴らしい内容なのに、映画として成り立っていないのが残念。

美しい朝日の映像を見ていつも胸が熱くなるのは、
昇る太陽は生命の象徴だからかなぁ、などと考えながら胸が熱くなる。
そんな映画の始まりに期待が高まったんですが。。。。

ナレーションがまるで学校で見せられる教育ビデオみたいでちょっと興ざめ。
さらに追い打ちをかけたのは、その歌。

NGOの医師、桑山紀彦さんの世界各地での医療活動や、
それを子供達に伝える「地球のステージ」 の活動は素晴らしい。
頭が下がる。何より桑山さんがイキイキしている姿に、
自然とこちらの頬もゆるむ。素敵な人だなぁ。

しかし、しかしだぁー。その歌は、正直もういいよーと
何度も思ってしまった。
個人的な好みからいくと、この手の歌は苦手です。
桑山さんの歌をここまで前面に出した演出は辛い。

フィリピン・スラム街の少女、カンボジアで地雷の被害にあった少年、
東ティモール・難民キャンプでの子供達。過酷な状況の中でも、
みんな一所懸命生きようと生命の力に満ちている。

クロアチアのメリッサの言葉が胸にささる。
「人間の心の中に悪魔が住んでいるよう。」
民族浄化の名のもとに理解しがたい事が行われていて、
その影響を一番受ける子供達の将来が心配だ。

この映画、全部桑山さんのナレーションでよかったんじゃないでしょうか?!
あの女性のナレーションは、話し方からして教材用ビデオですよー。
最後のナレーションも、少々反発を感じてしまいました。
そんな事わざわざ言わなくても、ここまで映画を見た人は
自然にそう思うのに。。。。私がへそ曲がりなんですかね。
何も言わなくても、子供達から伝わってくるものが多い
こんな映像を見た後は、そっとしておいて欲しいと思う。
作り手側に、もうちょっと人間の良心を信頼して欲しい感じがしました。

将来世の中に旅立っていく子供達や、
世界の窮状を知らない人々に見てもらいたいノンフィクションです。
(ドキュメンタリー)映画としての評価は難しい。

第七藝術劇場にて鑑賞。