ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

PARIS

監督:セドリック・クラピッシュ
(2008年 フランス)

【ストーリー】
心臓病で余命いくばくもなく、助かるには心臓移植しか手はない元ダンサーの
ピエール(ロマン・デュリス)。静かに療養生活を送っているピエールを案じた
姉エリーズ(ジュリエット・ビノシュ)は、彼と同居を始めることに。
そんな状況の中、ピエールは周りの人々の喜びや悲しみに満ちた日常に
目を向けるようになる。(シネマトゥデイより転記させていただきました)

「皆、幸運に気づいていない。」

冒頭、高層ビルからの風景をバックにジャジャーン!と登場するのがロマン・デュリス
思いきや、ファブリス・ルキーニだったんでちょっと笑ってしまいました。
エリック・ロメール作品でお馴染みのこの人=おしゃべり・滑稽のイメージ、
そしてここまで色気を感じさせない俳優さんもめずらしい。( ̄▽ ̄;A
あっ!悪口じゃないですよ。俳優さんとしては必要不可欠な存在だと思ってます。

悪口と言えば(だから違うって!)、ロマン・デュリスがダンサーとして
ムーラン・ルージュで踊ってるシーン、いい意味(?)で気持ち悪さ炸裂!で、
これも笑ってしまった。
しつこい様ですが、悪口じゃないです!こういう所も見てて楽しいんです!
ピエールと姉の同僚が、さあ今からベッドインしようかという前の
ぎこちないシーンも笑えましたね。

ビノシュは彼女自身が年齢を重ねて、やっと好きになれた女優さん。
(若い時はなんとなく愚鈍な雰囲気が好きになれなかった。( ̄▽ ̄;A
今日はなんか辛口やなぁ。)
特に、昨年観た「ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン」での彼女はすごく良かった。
この作品でも唯一感情移入して観る事ができた人物。
日常に少し疲れている彼女が、時折自分を解放する姿が可愛らしい。

ファッション業界で働く女子達はさしずめ華やかなパリの部分という事でしょうか。
ある意味この作品の中ではなんの魅力も感じられない存在でしたが。
それよりもカメルーンから不法入国したブノワの方が気になりますもんね。
また、美しく頭も良さそうなソルボンヌの学生レティシア
全く共感する部分のない登場人物は彼女だったかも。

この映画では、パリの街を意図的に美しく写し出そうという印象はありません。
等身大のパリ(とは言っても行った事もない者の勝手な言い分でございます、ハイ)
といったイメージでしょうか。
カリン・ヴィアール演じる意地悪で人種差別主義っぽいパン屋さんなんかは、
私のイメージのパリそのもので、可笑しい。
そしてマルシェのシーンは、どの映画でも生き生きとしたものを感じて大好き。
地上5センチの恋心」や「モンテーニュ通りのカフェ」等で好感度UPの
アルベール・デュポンテルが果物屋さんっていうのもいい。

ラストシーン、タクシーに乗ったピエールのセリフが好き。
治安が悪くなったとはいえまだまだ平和(ここが重要ですね)な日本に住めるのは
幸せな事だな、などと感じてしまいました。
政治はヒドすぎるけど!←やっぱり文句は言ってしまいますね(パリっ子みたい?!)

梅田ガーデンシネマにて鑑賞。