ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

悲しみが乾くまで

監督:スサンネ・ビア
(2008年 アメリカ/イギリス)

【物語のはじまり】
夫のブライアン(デヴィッド・ドゥカヴニー)と2人の子どもに囲まれ、
幸せな日々を送っていたオードリー(ハル・ベリー)。
しかし、ブライアンが事件に巻き込まれ死亡。その葬儀の日、オードリーは
夫の親友ジェリー(ベニチオ・デル・トロ)と再会する。
ジェリーはかつて弁護士だったが、今はヘロインにおぼれ、堕落していた。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

この作品も「しあわせな孤独」「ある愛の風景」と同様、愛する人が亡くなった
(もしくは全く別人の様になってしまった)後の喪失感や焦燥感、
そしてそこからの再生を描いています。メジャーな俳優での英語作品だという事以外は
同じで、スサンネ・ビア節みたいなものはそのまんま。
ストーリーそのものというよりは、登場人物の心理描写で魅せてくれる。
心のひだひだがなんとなく感じられる様な表現とでも言えばいいんでしょうか。
女性ならでは(なんて言うとフェミニストの人に叱られそうですが)の繊細さが
感じられるちょっと詩的な作品です。

ベニチオ・デル・トロ。。。。相変わらずの存在感。なんなんやろねー、これは。
ラスベガスをやっつけろ」でのクレージーなジャンキー役とは対照的に、
ネガティブな理由で麻薬中毒に陥ってしまい、もがき苦しんでいる役。
私はオードリーよりもこのジェリーの方に感情移入して、彼を中心として作品を観ていました。
ジェリーがヘッドフォンで聴いていた曲もイカしてたし。彼が外の世界から話しかけられて、
ヘッドフォンを外し音が消えていく瞬間こっちまで何故か、あーっ現実に引き戻されるぅって
気持になるんですよね。エンドロールにヴェルヴェット・アンダーグラウンドの曲を
もってくるあたりもクール!(なんて言ってみたりするぅ)

ネットリ系のデル・トロと、ちょっと乾いた感じのするハル・ベリー
コンビネーションがいい。

梅田ガーデンシネマにて鑑賞