ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

4ケ月、3週と2日

監督:クリスティアン・ムンジウ
(ルーマニア 2007年)

【物語のはじまり】
チャウシェスク独裁政権末期のルーマニア、大学生のオティリア(アナマリア・マリンカ)と
ガビツァ(ローラ・ヴァシリウ)は寮のルームメート同士。実はガビツァは妊娠していたが、
中絶は法律で禁じられていた。中絶手術の当日、予想外の事態が重なり手術の機会を
逃しそうになるが、オティリアは親友のためにある決断を下す。
(シネマトゥデイより転記させていただきました)

久しぶりに緊張感を持って映画を見た。
スウィーニー・トッド」も違う意味での緊張感(切り裂きシーンが苦手!)はあったけど、
それはもう全然違うし。元々ユル系(?)の作品が好きなので、他の人よりも余計に
そう思うのかもしれませんが。この緊張感は「フランドル」(これはもっと辛かった!)とか、
ロゼッタ」「息子のまなざし」等のダルデンヌ兄弟の作品を観た時のものに近い。
そういえば、これらの作品はすべてカンヌ映画祭でなにがしかを授賞している。
カンヌの好みの一つなんでしょうか?

主人公のオティリアは真面目でいかにもストレスを溜め込みそうなタイプ。
観ているこちら側にもストレスがかかる。誠実で優しい人だからこそ、
周りによかれと思った行動がから回りしてしまう感じが悲しい。

対照的にガビツァは無邪気でだらしないけど、むしろ彼女の脳天気さに救われる。
あんまり友達にはなりたくないけど。(^-^;A

オティリアのイライラのピークは彼氏の実家で食卓を囲むシーンなんですが、
日常のどうって事ない会話と風景と彼女との対比が面白い。

緊張感のピークはラストのあたり、夜の町を歩き回るオティリアに自分を重ね
少なからず恐怖を感じさせられる。監督の意図したまんまはまってる感じ?!

この時代の東欧におけるある種空気の重さみたいなモノを感じられる作品。
出来ればラストにひとひねり欲しかったのと、エンディングの音楽があまりにも
唐突なのが残念賞。

テアトル梅田にて鑑賞。