監督・脚本 パスカル・フェラン
(2006年 フランス)
原題:LADY CHATTERLEY
【物語のはじまり】
第1次世界大戦後の英国、とある炭坑の村。
コンスタンス(マリナ・ハンズ)は戦争で下半身不随となった
夫クリフォード・チャタレー卿(イポリット・ジラルド)の世話をしながら
生気のない日々を過ごしていた。
ある日、休みをとっていた使用人の変わりに猟番のパーキン(ジャン=ルイ・クーロシュ)を
訪ねた彼女は、森へ通い始める様になる。
イギリスの文豪D・H・ロレンスの「チャタレー夫人の恋人」の第2稿を原作に、
全編フランス語で映画化されている。
舞台がイギリスの話なのにフランス語っていうのは変といえば変で、
階級社会の雰囲気なんかはやっぱり英語の方が出るとは思います。
ただ恋愛映画のせいか、そう違和感があった訳ではありませんが。
自然を描写しているシーンが多いのが個人的に好み。
二人が一糸まとわぬ姿で草原を駆け回り、お互いの裸体を草花で飾るシーンも印象的。
使い古された言い方ですが、魂の開放の様なものを感じる。
「あのシーンは原作に忠実に描いた」とフェラン監督がインタビューで答えているのも興味深い。
あえてエロティックを追求していない感じにすごく好感が持てたというか、
それだけに二人の関係が性的なものから愛へと変化していく過程に説得力があったし。
また、135分(今回観たディレクターズカット版は158分でした)という
少し長めの作品である必然性はコンスタンスとパーキンの
関係性を描く為には必要だったと思われました。
パーキン役のジャン=ルイ・クーロシュは、壮年の頃のマーロン・ブランドに
どこか(目のあたりかなぁ)似ている。孤独な中年男性の雰囲気とあの体付きが
結構役にはまってると感じた。
世間一般に言われている「猥褻か芸術か」などというイメージとは程遠い作品。
この時代の女性にありがちなあくまでも受け身な生き方から、
能動的に愛し行動する様に変化したレディ・チャタレーに清清しさをも感じられた。
初めて原作(第2稿)読んでみたくなりました!
シネ・ヌーヴォにてディレクターズカット版を鑑賞。