ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

太陽

太陽太陽
(2007/03/23)
イッセー尾形、ロバート・ドーソン 他

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監督 アレクサンドル・ソクーロフ
(2005年 ロシア/イタリア/フランス/スイス)
原題:SOLNTSE/LE SOLEIL/THE SUN

【物語のはじまり】
1945年8月敗戦間近、地下の待避壕で暮らしていた昭和天皇イッセー尾形)。
戦況は逼迫しており、日本が焦土と化す悪夢にうなされる日々をおくっていた。

前回の「モレク神」に引き続き、ソクーロフが20世紀の権力者を取り上げた
シリーズのうちの一作品。

正直言って、昭和天皇というよりも、イッセー尾形のお芝居を観ている様な気分でした。
昭和天皇の所作をデフォルメして演じ、そこらへんは結構面白い。
しかーし、昭和天皇とは元が違い過ぎて、かなり遠いです。
昭和天皇の悪意のない人間らしさは伝わりますが、
ちょっと威厳と品格に欠けてしまいましたかね。

この映画が史実に忠実に創られていない事は明白だし、
ファンタジーとしてとらえるべき作品だとしても、
昭和天皇の描き方に違和感を感じてしまいます。
マッカーサーとの会見のシーン(あのアメリカ兵の通訳は謎です)や、
写真撮影で米兵が口々に「チャーリー」と呼びかけるシーン等。
私自身が日本人であるせいか、あまりにもリアリティを感じる事ができないんですね。
どうせなら、もう少し事実に基づいたと思われるちゃんとしたものをベースに
創って欲しかった。
映像そのものには独特の美を感じさせるものがあるので、非常に残念な作品です。

この映画には直接関係ありませんが、日本人の手によって皇室の内部を描いた映画が
創られる日が早く来ればいいなと思います(「クイーン」みたいな)。
また、それに目くじらをたてる事のない大らかさが、国民にあればいいなと
個人的には思います。