監督 アレクサンドル・ソクーロフ
(1999年 ロシア/ドイツ/日本/イタリア/フランス)
原題: MOLOKH/MOLOCH
【物語のはじまり】
1942年のドイツ。愛人エヴァ・ブラウン(エレーナ・ルファノワ)が待つ
バイエルンの山荘にヒトラー(レオニード・マズガヴォイ)と側近達がやって来る。
大阪ヨーロッパ映画祭関連の「アレクサンドル・ソクーロフ 20世紀三部作」の1作品。
昭和天皇を描いた「太陽」と、レーニンを撮り上げた「牡牛座」があとの2作品となります。
ソクーロフなりの解釈で一人の人間としてとらえたアドルフ・ヒトラーが描かれた作品。
なんだか詩的な映像で始まります。天空の城の様な山荘。
ニキータ・ミハルコフの「機械じかけのピアノのための未完成の戯曲」を観た時も
同じ様な幻想的な印象を持ちました。興味深かったのが、食事中に椅子がひっくり返る等、
登場人物のはしゃぎ方にも何かミハルコフと共通した雰囲気が。これって、ロシア的なんやろか?!
残念なのは「ヒトラー 最期の12日間」のブルーノ・ガンツがあまりにも印象的だったせいか、
又その他の映画に比べてもあまりにも似ていないレオニード・マズガヴォイがなかなか
ヒトラーに見えないのが気になってしまい、集中できなかったという事。
もやぁっとしたファンタジックな映像美の中で、人間の愚かさと残酷さが垣間見える作品。
(シネ・ヌーヴォにて鑑賞)