ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

遅咲きの乙女たち(マルタのやさしい刺繍)

監督・脚本:ベティナ・オベルリ
(2006年 スイス)
原題:Die Herbstzeitlosen

【物語のはじまり】
スイス、エメンタール地方のトゥーン村。
夫に先立たれた80歳のマルタ(シュテファニー・グラーザー)は、今も悲しみに沈んでいた。
ある日、ふとした事からベルンの町の布地屋を訪ねた彼女は、昔抱いていた夢を思い出す。
それはパリで小さなランジェリーブティックを開くというものだった。

「大阪ヨーロッパ映画祭」では、他にも観たい作品がいろいろとあったんですが、
結局、諸事情で一番気になったこの作品だけを観る事ができました。

上映の前にオベルリ監督と主演のグラーザーさんが登場されましたが、
シュテファニー・グラーザーさんはとってもキュートなおばあちゃん。

そして、そんな彼女が作品で演じるマルタもとても素敵。主人公を応援したくなる映画です。
自分が好きなものに触れたり、それを形にしていく時のキラキラしたマルタの表情は
観ているこちら側の気持ちも幸せにしてくれます。
彼女をとりまく女友達リジィ、フリーダ、ハンニも魅力的で、
女同士のおしゃべりやふれあいはいいなぁと、彼女達の友情が羨ましくもありました。

それに反して、男達の見苦しく不自由な事。こうしてはいけない等という固定観念に縛られ
精神的な自由を得ていない男達が、少々極端に描かれている様な気もしました。
唯一可愛げのある男性として、老人ホームのコンピューター教室に
フリーダを誘う男の人が登場しますが。

スイスにある小さな村でロケが行われたそうですが、いいですねぇー。
私自身の日常からかけ離れたロケーションの魅力はそれだけでポイント高いです。

この映画、日本では「マルタのやさしい刺繍」(やったかな? 間違ってたらごめんなさい!)
というタイトルで来年、一般上映されるとの事です。

余談ですが、上映後の質疑応答で50才代の男性が「私自身と比べても少々石頭すぎる男性達だと
思いましたが、スイスではあんな感じなんですか?」という質問を監督にされました。
それ!私も気になってたんです。田舎では男尊女卑的な所があるのはわかるけど、
考え方が古臭さすぎる様な気がして、ちょっと現実味がなかったんですよね。
しかし、答えは「どこの国でもいろんな考え方の方がいて、云々。。。」というもので、
ちょっとモヤモヤしてしまいました。

(リサイタルホールにて鑑賞)