ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

殯の森

監督 河瀬直美(2007年 日本/フランス)
シネ・ヌーヴォにて鑑賞。

【物語のはじまり】
奈良県東部、山間部のグループホームに、妻を亡くしたしげき(うだしげき)は
暮らしていた。そこへ新しく介護福祉士としてやってきた真千子(尾野真千子)。
彼女もまた、大切な人を失いつらい思いを抱えていた。。。。

水曜日以外の平日を狙って行きましたが、最終日の最終回のせいか
シネ・ヌーヴォと思えぬ(失礼!)盛況ぶり。

静けさの中の風の音が心地いい。風が主役。
何故か、風に導かれて生きるのかも等という不思議な感情が
芽生えてくるのは、映画に入り込みかけてる証拠。

グループホームの日常がリアルに平凡に描かれていく。
プロの役者のそれではない、人々の表情に気持ちが和む。

※ここらかネタバレ含みます。
そんな中、しげきの妻が眠る森に出かける二人。
それまでは静かに展開していた物語でしたが、
川を渡ろうとするしげきに向って絶叫する真千子の、
激しい感情のほとばしりに心動かされました。

そんな真千子の姿を見て、しげきは悟ったんですね。
ここで二人の魂が触れあうんです。
うだしげきさん、尾野真千子さん共、素晴らしかった。

正直、ここから先が個人的にはちょっと長かったかな。
このシーンで妙に気持ちが盛り上がってしまったので。
※ここまで。

この作品を観てなぜか「フランドル」を思い出しました。
あまりにも日常が日常らしく平凡だったせいか、あるいは
映画全体にわたる静寂のせいかもしれません。

ところで、邦画をあまり見ない私、ホームの主任役、渡辺真起子さんを
存じ上げませんでした。どこか浅茅陽子さんにも似た
包容力を感じさせる女優さんですね。