ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ブリッジ

監督 エリック・スティール(2006年/アメリカ)
梅田ガーデンシネマで観ました。

サンフランシスコを象徴するゴールデンブリッジは、世界有数の自殺スポットでもある。
そこにカメラを向け自殺者の様子を撮り続け、また、飛び降りた人々の肉親や友人たちの
インタビュー、一命をとりとめた人物の証言を交えたドキュメンタリー映画。

※今回ネタバレ含みますので、ご注意ください。

この映画で一番印象深かったのは、飛び降りて奇跡的に助かった若者の
「飛び降りた瞬間に生きたい!と思って、衝撃の少ない体制をとろうとした。」という言葉。
想像でしかありませんが、死を望んでいるように見える多くの自殺者が、
実はこの若者のように思いながら亡くなっているのではないでしょうか。
そう考えると余計に救われない気持ちになります。

橋の上から飛び降りようとしている人に、声をかけてハグしたいと思うのは、
私のただの甘い感傷かもしれません。そんな事では何も解決しないのが現実でしょう。

ただ、自殺者の周りの人達の苦悩(救えなかった罪悪感等)は、
これからも長い間その人達に付きまとうものかもしれないと
考えた時、人間は決して一人では生きて行けない、
また、一人の様に見えても一人ではないんだと
今さらの様に思えました。

サンフランシスコの澄みきった青空と美しく青い海が、
厳しい現実と対照的で深く印象に刻まれる。

残念だったのは、飛び降りた人々を「うつに悩んでいた」とする
ケースがほとんどだった事。偶然かもしれませんが、自殺の原因は
精神的な病気だけではないはず。
再度観る事はないと思いますが、いろいろな事を考えさせられる
ドキュメンタリーでした。