ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

監督 松岡錠司(2007年/日本)

この作品は、リリー・フランキーさんが、自身の母親との半生を綴り
ベストセラーとなった、あの有名な長編小説の映画化です。

どちらかというと邦画が苦手な私ですが、オダギリジョー樹木希林、小林 薫と、
主要な出演者が上手い(そして私の好きな)人達なので、安心して観られる!
(正直、邦画は下手な人が出てるとソワソワして落ちつかない気分になる時が
ままあります)と言うことで、梅田ピカデリーにて鑑賞。

原作は読んでいないし、もちろんテレビドマラも観てなくて、
予備知識はあまり無い状態で、ちょっと楽しみ。

もう上映が始まってから結構な期間がたつのにもかかわらず、
水曜日という事もあってか、空席は見当たりませんでした。
「パイレーツ・・・」よりも賑わってます。
久しぶりに大きな劇場で満員状態で鑑賞するのは、勝手が違って軽い緊張感があります。

オダギリジョーの淡々とした語り口がいいんでしょうか。
冒頭から映画にすんなり入り込めました。
のっけから「笑い」があって好感度もぐっと上がり。

内田也哉子さんのいい意味でボンヤリした感じも、この映画の雰囲気に合ってるし、
セリフのみのシーンで、樹木希林さんかと思う位そっくりな場面がありました。
一人の女性を年代によって二人の俳優が演じわける時、
けっこう違和感を感じる事もあるんですが、この作品は成功していると思います。
内田也哉子さんの方がかなりおっとりした印象なんですが、
基本的なテイストが同じなんですね(親子だからと言われればそれまでですが)。

ところで、私の周りの大阪市内・阪神間出身の男の人は、小さい頃はもちろん、
いい年のオッサンになっても自分の事を「ボク」と言います。
「オレ」とか「ワシ」とか言う人が周りにいないせいか、
たまにそういう人を見かけると違和感を感じてしまったりして。
この物語の場合は、「ボク」という一人称が、主人公の甘えん坊体質を
表している様な気もしますが、同時に親近感も抱きますね。

物語は全体的に淡々と描かれていて、所々に笑いがちりばめられ、
無難にいい作品だと思います。
作品自体に心揺さぶられるという事はありませんでしたが、
出演者の演技には心打たれるものがあったし、
佐々木すみ江さんや渡辺美佐子さんを観られたのもうれしかった。

ただ、必要ないのではと思わせるカメオ出演も所々ありました。
テレビ局が制作にからんでると、そういう事をやってしまうのかなと思ってしまいます。
それから、私個人は、松たかこさんの演技が何か浮いてる様に感じました。
(「THE 有頂天ホテル」の時も同じ様に感じたので、好き嫌いの問題かもしれません。)
結構重要な役なので、惜しかったです。日本の女優さんは詳しくないんですが、
かわりに誰がよかったかなぁ等と考えたりしてしまいます。
麻生久美子さんだとイメージ違うし、時効警察になっちゃうしなぁとか。。。

原作は文庫本が出たら、読みたいと思います。