ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

ジェラール・フィリップ

ルネ・クレマン監督、ジェラール・フィリップ主演
「しのび逢い」(1954年 フランス)をNHKBS2で観る。

【物語のはじまり】
女性を口説く事しか頭にないフランス人アンドレ・リポワは
財産家の妻キャスリーンと離婚寸前。
リポワが次に狙いをつけているのは妻の親友パトリシアだが。。。

この邦題は全然しっくりきません。
原題は「Monsieur Ripois Lovers, Happy Lovers!」というらしいんですが、
この軽い感じでないと、「しのび逢い」では重いですね。
しかも同じ邦題の映画は他にもあってややこしいし。

ジェラール・フィリップは、その時代を代表する二枚目と言われてますが、
そんな事より、うまい役者さんだと思います。
誠実の真逆をひた走るいい加減そのもののフランス男を
演じてても、品の無さを感じないんですよね。おかしさと可愛げがある。
横にいる女性の髪が自分の顔にふれるのを鬱陶しそうによけるシーンが
何回も出てきたり、無意識のしぐさで人物の性格を描いているのも面白い。
そんな男を軽いタッチでシニカルに描いていて、いかにもフランス映画っぽいと思います。

それにしても、よくも女性を口説く事にここまで一所懸命になれるなぁと、
滑稽さを通り越して関心してしまう男性って、フランス映画(ドラマも)に
よく出てきますよね。本当にそうなのかと錯角してしまいます。

ジェラール・フィリップの作品はたまにNHKBS2で放送しているので、
以前「花咲ける騎士道」(1952年 フランス)を観ましたが、
こちらはテキトー男が立ち回るちょっとおバカな時代活劇で、娯楽性の強いものでした。
素直に楽しい映画です。
この作品はリュック・べッソン監督がリメイクしてる様ですね。
ペネロペ・クルスが出ているのでちょっと気になるところ)

「モンパルナスの灯」(1958年 フランス)ではうってかわって、
薄幸の天才画家モジリアニを演じていましたが、
ジェラール・フィリップが演じるとリアルで、哀しすぎる。
しかし、そのジェラール以上に、アヌーク・エーメがせつないぐらい綺麗で、
とても印象的だったのを覚えています。

次は「肉体の悪魔」(1947年 フランス)をぜひ観たいです。