ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

善き人のためのソナタ ★

監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
(2006年/ドイツ)

【物語のはじまり】
東西冷戦下の東ベルリン。国家保安省局員のヴィースラーは、
劇作家のドライマンとが反体制的であるという証拠をつかむよう命じられる。
だが、彼と彼の恋人で舞台女優のクリスタらの生活を盗聴するうちに、
今まで知ることのなかった新しい世界・価値観を知る事になり。。。

シネ・リーブル梅田にて観る。

秀作です。

共産主義体制での東ドイツの話なので、重い物を覚悟して観にいきましたが、
観た後に救われた気持ちになり(ラストシーンでこみあげてきました!)、
その時代の政治体制をテーマにした映画を観に行った時にありがちな、
暗い気持ちのまま帰るという状態にはなりませんでした。

これは「政治」というより、人の「心」の映画なんですね。
善良な「心」、人として正しい「心」を持つことで救われる
(ある意味楽天的かもしれませんが)映画です。

去年観た「麦の穂を揺らす風」(2006年・イギリス/アイルランド他)なんかは
作品自体は良くても、正直しんどかったのでもう一度観たいとは思わないんですが、
これはいい!

主人公のそれまでの人生や性格などを、
プライベートな部分などを少しだけ描写する事で見る側に悟らせたり、
大げさでない描き方にも好感が持てました。