ゆるり鑑賞 Yururi Kansho

映画や海外ドラマ、たまに本の感想を基本ネタバレで

1月第2週・第3週から公開(大阪市内)の映画で気になるのは

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「長くつ下のピッピ」や「やかまし村の子どもたち」など世界中から愛される児童文学作家の若かりし頃は、自由奔放なだけに苦難に満ちている。
致命的な失敗をしてしまった彼女だけど、その溢れんばかりのエネルギーと才能、意志の強さには羨望心を抱きます。
邦題は「アストリッド」にするべきかと。


1月第2週・第3週から大阪市内で公開される映画、その中から気になる作品をピックアップします。

※1/10(金)〜「パラサイト 半地下の家族」
※1/11(土)〜 「東海テレビドキュメンタリーのお年玉」
上記2つを追記しました。

 

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「裁かるるジャンヌ」〜タイムリーな映画〜

裁かるるジャンヌ 2Kレストア版 カール・Th・ドライヤー DVD

「ゴーモン 珠玉のフランス映画史」公式サイト:http://gaumont-movie-2019.com/


監督:カール・テオドール・ドライエル
脚本:カール・テオドール・ドライエル、ジョゼフ・デルテーユ
撮影:ルドルフ・マテ
1928年製作/80分/フランス
原題:LA PASSION DE JEANNE D'ARC

※ネタバレを含みます


【物 語】
百年戦争においてオルレアンの地を解放に導いたジャンヌ・ダルク。
だが1431年、戦いで捕えられた彼女は、イングランドに引き渡され、異端審問を受けることになる。


年初から、強烈な出逢い
予想以上にすごい映画だった


1928年のカール・テオドア・ドライヤーの作品
サイレントかトーキーかとか、そんな事忘れるほどの迫力でした。
というよりも、サイレントだから、表情で語る映画だからこそ、このインパクトなのかも。

ほぼジャンヌの顔のクローズアップなのに、表情での表現が突出しているせいか、全く見飽きることがない。

サイレント映画終焉の時代に、こういう素晴らしく芸術性の高い作品が生まれた事、しかしそれが当時の観客に受け入れられまなかった(興行的に大失敗だったそう)事は、なんとも惜しまれる気がします。
しかしそれが復元され、大勢の人が観ることができるようになったのは素晴らしいことですね。

 

実際の裁判記録をもとに脚本が書かれたということですが、15世紀の書類ががちゃんと残ってるよう。
公文書をすぐに処分したとか平気で言っちゃう、どこかの国とは大違いですね。


物語はシンプルに見えて、 色々と考えさせられる問題を含んでいます。

 

私は中・高校と6年間キリスト教系の学校で、少し宗教を学びました。
その際「隣人への愛」といった道徳的な側面に理解・共感できる部分はありましたが、「福音」にはどうも馴染めなかったのです。
様々な「奇跡」が、どうしても信じられない。

なので、ドライヤーの「奇跡」を見た時、その結末の神々しさに感動しつつも、どう捉えていいか少々とまどいを感じました。
今作でも「聖ミカエルのお告げを聴いた」というジャンヌのストーリーに、正直乗れない部分はあります。

が、ここで描かれるジャンヌの信仰心、「神の啓示を受け」それに従う情熱や恍惚感、戸惑い、死への恐怖、達観など深層心理には、強く惹きつけられるのです。


また、看守達の下卑た笑い顔がおそろしい。恐怖でした。
高校の授業で、熱心なクリスチャンだった先生が、ジャンヌがドレス(スカート)を着用しなかった理由について話していたことを思い出します。

この、女性に対するセクシャルハラスメントと、時の権力者が司法を牛耳る構図、これは日本においても表面化してきてる問題で、私の中で妙にタイムリーでした。


それにしても、信仰に裏打ちされているとはいえ10代の少女が軍の指揮官として活躍したこと、後に復権裁判が行われ守護聖人の一人となっていることなど、そういう土壌があるフランスが羨ましい。
いやしかし、火刑はないよなー。それだけはイヤ!

 

この作品同様、裁判記録をもとに作られたロベール・ブレッソンの「ジャンヌ・ダルク裁判」も、いつか見て比べてみたい。


念願だった映画をやっと見ることができて、それが傑作だったんだから、今年は幸先いいわー。
感謝です、ハイ。


シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

2019年、印象に残った映画のこと

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あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

さっそくですが、備忘録をかねて昨年に見た映画について記しておきたいと思います。
家族の理解と協力もあり、128本の作品と出逢うことができました。
その中から、順位などはつけず特に印象に残ったものをご紹介しています。
カッコ内は製作年です。


「タレンタイム〜優しい歌」(2009年)
ちりばめられたユーモアと温かさ。
今は亡きヤスミン・アフマド監督の優しい目線を感じ、胸が熱くなる。
異なるモノを排除しようとする傾向が強まる今だからこそ、この映画から受け取るメッセージは心にささる。

 

「存在のない子供たち」(2018年)
年末、日本から逃亡したゴーンさんの件で一気に知名度が上がりそうなレバノンの映画
心揺さぶられたという点では、今年一番だったかもしれない。
この映画で描かれている子供達を決して忘れる事はないと思う、というか忘れられない。
この問題は、弱者が見捨てられ貧困家庭が増加する日本において、決して他人事じゃない。

 

「荒野にて」(2017年)
映像が美しいだけに、この映画の哀しさが増すような気もする。
ダルデンヌ兄弟の映画を見た時のしんどさと、ちょっと似てる。
けど、もっと繊細な空気感がここにはある。
全ての子供に無条件の愛を!

 

「天国でまた会おう」(2017年)
すごく好きな世界観なのに、鑑賞後の新鮮な気持ちを書き留めておけなかった後悔!
残酷だけどどこかキュートで、フランス映画の魅力が満喫できる映画。
小道具・美術なども素敵です。

 

「ボーダー 二つの世界」(2018年)
未知の世界を垣間見るような、このワクワク感が映画鑑賞の醍醐味。
醜さや美しさ、善と悪など、簡単に識別できるものじゃない、その複雑さがいい。

 

「幸福なラザロ」(2018年)
こちらも、不思議な感覚の作品でその神秘性に惹かれる。
投げかけられるメッセージの受け取り方が、人それぞれだろうなと感じさせる曖昧さも好き。
「ペトラは静かに対峙する」もだが、イタリアを舞台とした独自の色彩と映像にも心惹かれる。

 

「田園の守り人たち」(2017年)
黄金に染まる美しい田園風景の中で起こるドラマに、人間の愚かさと逞しさを見る。
物語自体は平凡だけど、人々の生活が慎ましく美しく、見飽きない。

 

「シュヴァルの理想宮 ある郵便配達員の夢」(2018年)
これまた、フランスの田舎の生活を切り取ったような映画。
ただ、この主人公は決して平凡ではない。
一見地味なのに奥深い、こういう小さな作品が大好き。

 

「マイ・ブックショップ」(2017年)
こちらも、地味で淡々とした、でも愛すべき映画。
後追いで読んだ原作も面白かった。
こういう映画を見て、原作読んで、また映画見て、と無限ループが始まる(笑)

 

「COLD WAR あの歌、2つの心」(2018年)
昨年の歌曲賞はこれしかない!というくらい心もっていかれる一曲がある。
モノクロの映像と音楽の力が素晴らしい。


また、大きな資本の映画では

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト」(1968年)
セルジオ・レオーネの大作西部劇に呑み込まれた!
今、こんな映画はもう作られないかもしれない。

そして、この映画に大いなる影響を受けたタランティーノの
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019年)
ちょっとクドさはあるけど、カタルシス感じられる映画はやっぱりイイ。
映画愛を感じられるところもね。


他にも今年は「2人のローマ教皇」「ROMA/ローマ」「マリッジ・ストーリー」など、劇場で見たNetflixの映画がどれも良かった。
「アイリッシュマン」は未見なんだけど、近いうちに!


本当に昨年は、いい映画だらけだった。
「ゴールデン・リバー」とか「「グリーンブック」とか「アダムズ・アップル」とか、、、
きりがないので、この辺でやめておきますが。


最後に、ドキュメンタリー編

日本の作品、どれもすごく見応えあり!です
「米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」
「i-新聞記者ドキュメント-」
「主戦場」←日本じゃなかったですね。日系アメリカ人監督のアメリカ製作でした。
「ある精肉店のはなし」

 

好きなことを追求する美しさよ!
「サッドヒルを掘り返せ」
「カーマイン・ストリート・ギター」

 

世界の今を知ろう
「ヒューマン・フロー 大地漂流」
「ナディアの誓い」

 

F.ワイズマン監督の2本、ちょっとした体力・知力が必要だけど面白い
「ニューヨーク、ジャクソンハイツへようこそ」
「ニューヨーク公共図書館」

 

この逞しく素晴らしい女性達に、感動の嵐!
「RBG 最強の85才」
「おしえて、ドクター・ルース!」


やっぱりドキュメンタリーは好きだなぁと、再確認した一年でもありました。
今年も素晴らしい映画との出会いに期待します!

 

【関連する記事】

 

12月第4週・1月第1週から公開(大阪市内)の映画で気になるのは

「ゴーモン 珠玉のフランス映画史」は、シネ・リーブル梅田にて上映中です。

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先日観た「鱒」(1982年)はものすごいジャポニスム映画で、大屋政子さんもちらり出演してた。

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若かりしイザベル・ユペールの小悪魔っぷりが小気味いい。
対する男たちは薄汚く欲にまみれ、この時代のギラギラした雰囲気が感じられる。
ダンスフロアでかかる音楽も、ダサいことこの上ない(笑)
ちょっとヘンテコな作品だけど、クセが強くて嫌いじゃない。
ジャンヌ・モローやジャン=ピエール・カッセル、ダニエル・オルブリフスキと時代を感じさせる豪華キャスティングで、一見の価値あり。


この特集、まだまだ気になる作品があるけど、一日に一本だけの上映なので、まさに作品との「出逢い」ですね

 

12月第4週・1月第1週から大阪市内で公開される映画、その中から気になる作品をピックアップします。

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「シュヴァルの理想宮」〜なぜかノスタルジィ〜

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公式サイト:https://cheval-movie.com/

監督:ニルス・タベルニエ
脚本:ファニー・デマール、ニルス・タベルニエ、ロラン・ベルトーニ
製作: アレクサンドラ・フェシュネル、フランク・ミルサン
2018年製作/105分/フランス
原題:L'Incroyable histoire du Facteur Cheval

※ネタバレを含みます

【物 語】
19世紀末、フランス南東部の村オートリ―ヴ。日々、村から村へと手紙を配り歩く郵便配達員シュヴァルは、新しい配達先で未亡人フィロメーヌと運命の出会いを果たす。結婚したふたりの間には娘が誕生したが、寡黙で人付き合いの苦手な彼は、その幼い生命とどう接したらいいのか戸惑っていた。
(公式サイトより転記させていただきました)


想いを形にする、その最たるものを見た気がした。


行ったことのない場所、生きたことのない時代なのに、強い郷愁を感じる。
ここで描かれたような時間、消えゆくものをとどめたい気持ちが湧き上がってくる映画。

南フランスの青い空、白い雲、遠くに臨む山々を目にし、鳥の声や水音を耳にしながら、手紙を配り歩く郵便配達員。
そんな仕事に強く憧れる。

いや、しかし歩いた距離は1日32kmだから、めちゃくちゃ大変。
雨や嵐の日もあっただろうし、体調の優れない時もあるし。
わかっているけど、この環境がシュヴァルの感性を刺激した事も間違いないと思う。


対人関係やコミュニケーションを取ることが苦手で、興味のある事に対するこだわりがすごい、いわゆる自閉症スペクトラム障害なのかなと思わせる主人公のシュヴァル。
だからこその徹底した物作りに対する姿勢は、見ていて感動する。

ほとんど話さない彼だが、その表情が感情を雄弁に語る。
最初の妻を亡くした時、子供との別れ、新しい命にとまどう姿など、ジャック・ガンブランの演技が素晴らしい。


彼が自分の情熱を殺さずに生きられたのも、周りの人々の温かい目があったからだと思う。

二番目の妻はもちろん(レティシア・カスタいいねー)、息子や、郵便局の上司(こういう上司に恵まれるって最高!)など。
また、彼に偏見を抱いていた女性の存在も、ある意味印象的だった。

人と違ってるシュヴァルを肯定してくれる人々によって、彼の人生は彼にとって意義あるものになったのだと感じる。


そして、この時代だからこそ人々と「死」の距離が近かった。
色々と辛い出来事も起こるけれど、シュヴァルの人生は美しく、充実していたんじゃないかなぁ。


実際の「郵便配達員シュヴァルの理想宮_の公式サイト:http://www.facteurcheval.com/en/index.html

 

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

 

 

12月第2週・第3週から公開(大阪市内)の映画で気になるのは

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「台湾、街かどの人形劇」

台湾の人間国宝で布袋戯の人形遣い・陳錫煌(チェン・シーホァン)さんを追ったドキュメンタリー。
チェンさんの手の動きも素晴らしいけど、その顔、表情がとてもいいんだなー。台湾の下町っぽい通りとそこに住む老爺達を見てるだけで頬がゆるむ。
同じく人間国宝であった父・李天との確執などにも触れられていたが、そこはなんとなくモヤモヤして消化できなかった。

芸能文化の伝統を継承することの難しさと、衰退していくことの寂しさを感じる映画。
ふと「文楽」を応援したい、久しぶりに国立文楽劇場にも足を運びたいと思った。


12月第2週・第3週から大阪市内で公開される映画、その中から気になる作品をピックアップします。

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「読まれなかった小説」〜多面的な存在〜

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公式サイト:http://www.bitters.co.jp/shousetsu/

監督:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン
脚本:ヌリ・ビルゲ・ジェイラン、アキン・アクス、エブル・ジェイラン
製作:ゼイネプ・オズバトゥール・アタカン
2018年/189分//トルコ・フランス・ドイツ・ブルガリア・マケドニア・ボスニア・スウェーデン・カタール合作
原題:Ahlat Agaci(野生の梨の木)

※ネタバレを含みます

 

【物 語】
シナンの夢は作家になること。
大学を卒業し、重い足取りでトロイ遺跡近くの故郷の町チャンへ戻ってきた。
シナンの父イドリスは引退間際の教師。競馬好きなイドリスとは相容れない。
(公式サイトより転記させていただきました)


人間の多面性を見せてくれる、そんな長編小説を読んだような感覚が残る。
脚本家の一人でもあるアキン・アクス(イスラム教の指導者を演じてた人)の自伝的な物語がベースになっているらしい。

そこに視覚的な効果が加わり、見応えあるいい時間が過ごせた。
「雪の轍」でも感じたけど、ちょっと意地悪だなと思うほど人間の愚かな部分を曝け出してくる、その感じがクセになる。
やっぱり私は人間に興味があるんだなぁと自覚する。
その描き方が平たくない事に、一種の安堵感も感じたり。

 

井の中の蛙的存在、無知な若者が主人公、だけど議論しようとする姿勢がいい。
宗教に関してはっきりと意見を言うシーンは、監督が意図したものだとインタビューで見かけたけれど。

パッとしない見た目の主人公とは対照的に父親はハンサムだが、あの情けない笑い方やお金のせびり方には嫌悪感!
このあたりがうまいわ〜。
ギャンブルで家も信用も失っている父親に、失望感しかない主人公だったけれど、、、、

ラストの展開、父と息子の会話は素敵だった。
ここでの会話は、母親が語る若き日の父親像とも合致して胸がすく。

 

ただ、長い!(笑)
やっぱり会話が圧倒的に多いから?!
宗教に関する議論のシーン、それなり面白いけど、もう少し短くてもいいかなと思う。


シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

 

 

「わたしは光をにぎっている」〜しゃんとする〜

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公式サイト:https://phantom-film.com/watashi_hikari/

監督:中川龍太郎
脚本: 中川龍太郎・末木はるみ・佐近圭太郎
脚本協力:石井将・角屋拓海
96分/2019年/日本


※ネタバレを含みます

【物 語】
亡き両親に代わって育ててくれた祖母・久仁子の入院を機に東京へ出てくることになった澪。
都会の空気に馴染めないでいたが「目の前のできることから、ひとつずつ」という久仁子の言葉をきっかけに、居候先の銭湯を手伝うようになる。
(公式サイトより転記させていただきました)


「形あるものはいつかなくなるが、言葉は残り続ける」


ドラマチックな展開は訪れないが、この主人公は確実に成長している。
しみじみと、そしてジワジワと好きな作品になった。


二十歳なのに子供のような主人公、最初は澪のグズグズ加減に少しイラッとする。

道を尋ねた相手に、スマホを手渡し黙ってついて行くし。
人気のない道に入りこんだ時、襲われないかとつい考えてしまう私は、知らない人を信用しない都会人です、ハイ。

しかし、やる時はヤル子なんですね(笑)
「犯罪ですよ!」と。
「そんな大きな声出せるのねー」←このおばちゃんに激しく同意。
そして変に妥協して大人にならない、フグ屋での澪の態度に共感した。


何気ないのに素晴らしく印象に残ったのは、澪が銭湯のお湯をすくい取るシーン。

澪が自分の居場所を見つけた瞬間のようで。
まるで光をすくい取ったようで。

山村暮鳥の詩「自分は光をにぎつてゐる」ともリンクして、胸が熱くなった。


薪でお湯をわかす銭湯、いいなー

下町にある古い銭湯、小さな映画館、庶民的な飲食店や市場など。
市井の人々の思いとは別に、消失していく場所やモノに思いを馳せる瞬間も愛おしい。

ちなみに、横浜のシネマジャック&ベティさんがロケ地で使われているよう。
大阪在住でも耳にした事がある劇場なので、一度は訪れてみたいなぁ。


長野県野尻湖、ロケーションが最高ですね。
エンドロールを飾るカネコアヤノさんの曲もいい

同監督の「四月の長い夢」も見たくなった。

 

シネ・リーブル梅田 にて鑑賞

「i ー新聞記者ドキュメントー」〜知る義務〜

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公式サイト:https://i-shimbunkisha.jp/

監督・森達也
企画・製作:河村光庸
音楽:MARTIN
113分/2019年/日本


※ネタバレを含みます

【イントロダクション】
権力とメディアの“たった今”を描いた衝撃の問題作『新聞記者』と同じプロデューサーが、私たちが生きる“今”と“メディアの正体”に警鐘を鳴らす、新感覚ドキュメンタリー!
(公式サイトより転記させていただきました)


ドキュメンタリーといいつつ、監督の主観がかなり入ったエンターテイメント作品という印象
テーマは重いけど


記者クラブ制度なんて、ほんと要らない。

以前から疑問に思ってたこと
内閣官房長官の記者会見は、誰のためのものなのか?
国民の知る権利にこたえるためのものではないのか?

形骸化されていく記者会見の中で、東京新聞社会部記者の望月衣塑子氏さんの存在には注目していた。

が、やはり疑問は疑問のまま残った。


外国人記者達が望月さんを訪ねてくるシーンには、うなづけた。

外国人記者「日本のジャーナリズムは不誠実な方向へ向かっている
監督「望月さんは当たり前の仕事をしているだけ、なのに何故注目されるのか。
僕も何故こうして彼女を撮っているのか。。。」

確かに、この映画が成立するという事自体、この国の危うさを象徴しているなぁ。


しかし、記者会見における望月さんの質問内容(自分に対する質問妨害に関する事)も、ちょっと違うなーという気もする。

個人的には、記者クラブ主催の定例記者会見は止めて、ちゃんとした情報公開の場を設けるべきだと思う。

少なくても、馴れ合いの関係になっているとしか思えない特定の記者だけでなく、フリーの記者でも取材できるオープンな場が必要だと、普通の感覚では感じるのですが。
これって、少数意見なんだろうか?


それにしても、望月さんには頑張ってほしい。
あのパワー、彼女の食事シーンからその生命力が感じられるようで元気が出た。
恨み言を言うでもなく、諦めず事実を追求しようとするところ、
忙しくてもお洒落には気を遣っているところが素敵。


映画で伊藤詩織さんや前川喜平さんの姿を見られたのも、思いがけず嬉しかった。


今の政権下で何が行われているか、民主主義社会の一員なら様々な角度から情報を精査し「知る義務」がある。
そして、情報に流されず自分の頭で考える必要がある。
ついつい流されてしまう自分を反省し、そんな事を考えさせられる毎日です。


第七藝術劇場 にて鑑賞